トップページ知って得する講座最終回:健康の鍵・脂肪を正しくとろう

最終回:健康の鍵・脂肪を正しくとろう

皆様のお宅にも配布されたと思いますが、先日、「サントリー オメガエイド」のチラシが新聞に折り込まれました。

「脳の元気は、毎日の生活を支える知力と気力の源」。サントリーはそう考えます。
意外と知られていませんが、脳は知力だけでなく気力も支えています。いくつになってもよく働く“元気な脳”に必要なのが、DHA・EPA・ARA(アラキドン酸)という3つのオメガ脂肪酸。しかし、中でもDHA・ARAは加齢より脳から減ってしまうため、60歳を過ぎたら毎日意識して補う ことが大切です。実際、補うことでアタマの回転や気力の改善に効果があることを私たちの研究で明らかにしました。

という内容で、認知症予防のためのサプリメントのおすすめです。
ところで、この広告の「3つのオメガ脂肪酸」っておわかりでしょうか。

最終回のメルマガは、丸元淑生・康生著「豊かさの栄養学2」(健康の鍵・脂肪を正しくとろう)から、「まえがき」全文を転載しました。最後のメッセージとして、ご一読いただければ幸いです。

それにしても30年前の著書です。その警告を無視し続けた結果が現在です。
私どもは20年前、丸元さんの栄養学に触れ、それを守ってきました。

えごま油を仕入れている取引先に、べに花ハイプラスマーガリンや発酵豆乳入りマーガリンがあります。非常にヘルシーなイメージです。でも商品説明によるとトランス脂肪酸の少ない製法で作りました[約0.03g/10g]。

ですから、私どもは扱いません。
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米国の一戸の台所から空気中に放出される油脂の量は、平均してなんと年間90キログラムといわれている。信じがたい量の油脂が加熱調理に使われているわけだが、わが国でも台所の壁や換気扇にこびりついている油汚れを見れば、いかに油を使った料理が増えているかが分かる。微小な粒となって空気にふくまれ屋内汚染物質の一つとなるこの酸化変性した油脂は、換気扇にこわばりつくだけでなく、われわれの肺にも入ってきているのである。

現在、欧米諸国で食事によってとられている脂肪の量は、一人あたり一日140グラムから170グラム、年間にすると51ミログラムから62キログラムという多量である。しかもなお、年々増加をつづけている。1960年代までのわが国の食事は、脂肪の摂取量が世界でも最も少ない点に特徴があったのだが、今では欧米の水準に近づいている。

それにしても人間のからだは、その多量の脂肪に適応できるものかどうか。米国では1910年から1980年の70年間にサラダ油と調理用油の消費量は12倍にもなっているのである。アイスクリームは5倍。一方、化学処理やフライの過程で生み出される不自然な分子の形をしたトランス型脂肪酸の比率は、ゼロ%だったものが10%になっている。

このトランス型の脂肪酸が、われわれのからだにとっていかにやっかいな異物であるかについては本文でふれるけれども、不思議なことに今日まで、こうした食事の変化は健康上の脅威としてとらえられることがなかった。専門的な論文が発表されるのみで、新聞やテレビでは報道されてこなかったのだ。

ひとつには一口に脂肪といっても種類が多く、その構成分子である脂肪酸の性質の違いを理解してもらうには、分子構造にまで言及する必要があるからだろう。短い記事や短時間のニュースにするのは極めて困難なのだ。

そこに栄養学の研究が進むにつれてわかってきたのは、われわれの健康が50近い多種類の栄養素の微妙な均衡のうえに成り立っているというという事実である。脂肪に関していえば、オメガ3という種類の脂肪酸とオメガ6という種類の脂肪酸の比率が健康を左右する重要性を持っていることが明白になっている。

いずれも局所ホルモンともよばれる調整物質の原料と脂肪酸で、この二種類の脂肪酸がないと、からだは調整物質をつくり出すことができない。そして、オメガ3からつくり出される調整物質は、オメガ6からつくり出される調整物質とは相反する働きをするのである。だから、その二種類の脂肪酸のあいだには均衡が保たれていなくてはならない。

均衡が保たれていないとどういうことになるかというと、人間のからだを無数の調節つまみのついた精密機械と考えてみればわかりがいい。極端にいえば、どのつまみも一方にしか回せなくなるのだ。それでは機械を正常に作動させることはとてもできないだろう。

この100年余りで人類の食事は、過去何千年の間に一度もなかったような大きな変化をみせたのだが、それには次の三つの節目があったと考えられる。

(1)19世紀の後半になって穀類を精白するようになった。
(2)1910年ごろから(わが国では1960年以降)肉を非常に多く食べるようになった。
(3)1960年以降植物油を非常に多く使うようになった。

この三つが重なって、さまざまな健康上の問題をひきおこしているのだが、オメガ3とオメガ6のバランスはどうだったかというと、米国では100年前にオメガ3対オメガ6比は1対1.5という比率だったのが、1980年には1対8と変化したのである。わが国では1960年には1対3だったものが1980年1対5と変化した。それでは、調整つまみがオメガ6の方には回るけれども、オメガ3のほうには回しにくいという困った事態が生じてくるわけで、事実、癌、心臓病、糖尿病などの成人病に加えて、アトピー性皮膚炎などの現代病の急増をみている。しかも、その事態は改善されることなく、悪化の一途をたどっている。現代人の食事はすでに、からだの調整能力まで狂わすようなアンバランスを生んでいるのだが、ほとんどの人がそれを改めようとはしていないからだ。しかも「バランスのよい食事」ということはだけは誰もが口にするという、おかしな風潮がある。

本書はそういう情況のなかで、健康の要といえる脂肪酸についての正しい理解がなされるよう、図解による解説を試みたものである。読者はその理解のうえに、それこそバランスのよい食事の組み立てをなさっていただきたい。

長足の進歩をとげている栄養学の最新の研究成果を理解するには最低限の科学知識が必要だが、その成果をふまえた食事の組み立てを行うことは別に複雑な事柄でもなんでもない。科学の最先端が指し示している食の原理は実に単純なものだからである。

オメガ3とオメガ6を100年前の伝統食がもっていた理想的な比率に戻すには、まずオメガ3源となる食品を日常食べるようにすることである。

オメガ3源となるのは、青魚(鮭、いわし、さばなど)、海藻、青野菜、寒い地方でとれる豆(大豆、小豆、白花豆、大正金時豆、キドニー・ビーンズなど)、小麦胚芽、くるみなどである。

市販の植物油のほとんどはオメガ6源となるものである。オメガ3源となる油はアマニ油(亜麻の種からとった油)とシソ油があるにすぎない。あとは大豆油が8〜9%程度オメガ3をふくんでいるくらいである。

とすれば、白花豆や大正金時豆やキドニー・ビーンズのサラダにアマニ油を使ったものはバランス改善のきわめて重要な一品となるわけだ。鮭はその脂肪の30%がオメガ3という最高のオメガ3食品だが、油が最ものりきった時季(6月〜7月)に漁獲されたトキ鮭の塩蔵品(塩鮭)は、背の部分が生で食べられるだけにこれもまた重要な一品である。

こうした食品で日常の食事を組み立て、揚げもの料理を減らしていけば、次第に正常な比率になっていくはずである。おもしろいのは科学の研究がすすむにつれて、シンプルな食事の価値がはっきりしてくることところで、この食事に赤黄色野菜と貝類が加わって穀類の精製度が下がりさえすれば、オメガ3とオメガ6の比率が正常になるだけでなく、ほとんどすべてのバランスがよくなる。

亜鉛を欠乏させない食事にもなるし、鉄を欠乏させない食事になるのだが、鯛やひらめなどの根魚の脂肪にはほとんどオメガ3が入っていないのだが、よくしたものでそういう高級魚はたまに食べるものである。日常食べることのできるいわしや鮭などの回遊魚に豊富なオメガ3がふくまれているところに、私は深い摂理と恵みとを感じる。
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脂質は水素、酸素、炭素の3種類の元素からできています。
水素は1本、酸素は2本、炭素は4本の手を持っていて、すべての手に握手する相手がみつかるようにつながっていると考えてください。

握手する相手がみつからなかった炭素の手へ一つ残らず水素原子がつながっている脂肪酸が、「飽和脂肪酸」と呼ばれ、肉に多く含まれています。

炭素には手が4本あるので、隣どうし、2本ずつの手でつながることができ、こうした結合部を「炭素の二重結合」と呼び、炭素鎖に二重結合をふくむ脂肪酸が「不飽和脂肪酸」です。

二重結合がどこではじまるか、この位置関係をはっきりさせるのに便利なのが、「オメガ命名法」という炭素の数え方のルールで、アミノ基側から、オメガ1、オメガ2、オメガ3と番号をふっていく方法です。

二重結合が一か所しかなければ「単価不飽和脂肪酸」で、オレイン酸。
オレイン酸はオメガ9で、オリーブオイルやべに花高オレイン酸です。加熱して酸化しにくいので、加熱調理用にお使いください。

二重結合が二か所以上あれば「多価不飽和脂肪酸」。
端から三つめの炭素で最初の二重結合がおこる脂肪酸は「オメガ3」。
六つめの炭素が最初なら「オメガ6」となります。

アマニオイル、えごま油、ニシン、サバ、サケ、イワシ、タラ等の魚介類は、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)のような健康にいいオメガ3脂肪酸に富んでいます。49度以上の加熱調理には酸化変性しますので、使わないでください。

おなじみのリノール酸はオメガ6の不飽和脂肪酸の一例です。
べに花油、グレープシードオイル、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、ゴマ油などの食品に多く含まれています。アラキドン酸(ARA)もオメガ6です。
アラキドン酸はリノール酸を原料として体内で合成されます。

ということで、サントリーのオメガ脂肪酸とは、オメガ3のDHAとEPA、オメガ6のARAです。
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私どもは、サントリーの製品のように抽出された栄養素でなく、DHAやEPAを多く含んでいる青魚やさば缶、アマニオイル、えごま油など食品で摂取されるをおススメします。そして丸元さんがいわれるように、ARAのオメガ6は揚げもの料理で過剰摂取になっていますので、オメガ3を意識してお摂りになることが肝要です。

揚げもの用オイルにべに花高オレイン酸、サラダにアマニオイルやえごま油。
サラダ油に比べて、べに花高オレイン酸は高価です。でも、家族の健康のことを考えれば、そして、今までより揚げもの料理の頻度を少なくすれば、十二分に見合うことではないでしょうか。

日々、オメガ3を摂取する方法として、アマニオイルやえごま油を、朝、野菜ジュースに加え、シェークしてお飲みになることを推奨いたします。



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