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科学的根拠に基づく
「がんのリスクを下げる食事」の全貌

今や、2人に1人はがんに罹患する時代。
これだけ「高い確率」でかかる可能性のあるがんを少しでも遠ざける方法はないだろうか。

がんは老化現象の1つで、遺伝的要因も関係している。

しかし、生活習慣を改善することでがんになる確率を下げることは可能だ。
男性の場合、最大5割も予防可能だという報告もある。

日経グッディの特集「日本人のがんを防ぐ5つの鉄則」では、国立がん研究センター社会と健康研究センター長・津金昌一郎さんに、がんのリスクを下げるポイントを聞いていく。・・・・・・・・・で始まる9月2日の『科学的根拠に基づく「がんのリスクを下げる食事」の全貌』を転載しました。長文ですが、ご一読ください。

今や、誰もがなる可能性があるがん――。前回は、がんになるかならないかは、生活習慣が大きく影響していることを解説した。「がんは遺伝による影響が大きい」と思う人も少なくないが、実は、生活習慣などの後天的な要因の影響の方がはるかに大きいのである。

日本におけるがん研究の総本山ともいえる国立がん研究センターの試算によると、日本人の男性のがんの約半分、女性のがんの約3割は予防可能だったという結果が出ている(詳しくは第1回を参照)。特に、男性の場合は、約5割ものがんを防ぐことができるとは驚きだ。

では、具体的にどのような生活習慣によって、どのようながん予防の可能性があるのだろうか。

その参考になるのが、国立がん研究センターの研究グループがまとめた「日本人のためのがん予防法」である。これは、日本人を対象として、数多くの人を長年にわたって追跡調査した疫学研究の結果を基に作成したものだ。それぞれの生活習慣がどういうがんの予防に、どの程度の影響を及ぼしているのかを評価している。

ここで大切なのは、「日本人のための」という点である。人種や民族によって遺伝的な違いもあれば、生活環境、社会環境も異なる。そのために、例えば欧米人のデータが日本人に当てはまるとは限らない。だからこそ、日本人を対象にした科学的根拠(エビデンス)に基づく「日本人のためのがん予防法」が重要になってくる。

やればやるほど効果あり、生活習慣の改善

がん予防のプロフェッショナルで、がん予防の著書も多く手がける、国立がん研究センター社会と健康研究センター センター長の津金昌一郎さんは、「国内外の研究から、現状において『がんになりやすい生活習慣(環境)』と分かっているものがあります。これらのうち、『喫煙』『飲酒』『偏った食生活』『運動(身体活動)不足』『体型(太り過ぎ/やせ過ぎ)』という5つの要因は、がんのリスクを高めるという日本人のエビデンスも蓄積しています。まず着手していただきたいのはこれらを防ぐ生活習慣の実践です(下図を参照)。着実な実践により、がんにかかるリスクの低減が期待できます」と話す(*1)。

*1 上記5つの要因のほかに、肝炎ウイルスやピロリ菌などの「感染」もがんの大きなリスクであることが分かっている。感染については第3回で解説する。

<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_30Gooday.htm>

国立がん研究センターでは、これら5つの習慣のうち、何個実践するかによって、どれだけリスクが下がるかを調べている。それによると、実践する習慣の数が増えるほどリスク(将来がんになる確率)が下がり、5つ実践した場合は、男性で43%、女性で37%もリスクが下がるという結果になっている(Prev Med. 2012;54(2):112-6.)。

<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_31Gooday.htm>

これらの生活習慣は、より多くやればやるほど効果があるというわけだ。

「がんに罹患する確率は年齢とともに上がりますが、これら5つの健康習慣がない人が罹患する確率は、5つとも実践した人と比べて10歳程度高齢の人と同程度であることが分かっています」と津金さんは話す。10年とは大きな違いだ。これは、実践してみない手はない。

日本人が実践すると効果が期待できる食事とは?

今回と次回は、これらの5つの対策を説明していく。今回はこの中から、多くの人の関心が高い「食生活」を中心に見ていこう。前ページで紹介した5つのポイントの中で、最も気になるのは「食事」という人は多いだろう。実際、がん対策に限らず、「〇〇はアンチエイジングに効果がある」「××は体に悪いから避けるべき」などという“食べ物の話”はメディアやネット上にあふれている。

「これには『日本人は健康と食べ物に関する関心がひときわ高い』という背景があります。ただし、食品の宣伝に使われているデータは、動物実験の結果だったり、人の研究でも単独の研究報告だったりして、科学的根拠が乏しいものも少なくありません。がんを防ぐ食品・サプリメントも数多く紹介されていますが、科学的根拠に則ったものは少ないと言わざるを得ません。ある食品添加物に発がん性がある、などという情報も同様です」と津金さんは注意を促す。

食品・食材の数はそれこそ数限りなくある。これらの中で、科学的根拠のある、日本人が実践すると効果が期待できる対策とは何なのだろうか。

津金さんは、「これまでの研究から、@野菜や果物をとらない、A塩分、そして塩辛い食品のとり過ぎ、B熱すぎる飲み物や食べ物をとることが、がんの原因になることが明らかになっています。『偏った食事をせず、バランスよく摂取する』ことを前提に、これら3項目の見直しから着手してください」と話す。順に説明していこう。

毎日野菜を小鉢で5皿、果物を1皿食べよう

1つ目の「野菜や果物の摂取」は、健康に気を使う人ならおなじみの対策だろう。野菜や果物がカラダにいいという印象を持つ人は多いが、実際にがん予防の効果も期待できる。「多くの研究から、野菜や果物にはがん予防の可能性が示唆されています」と津金さん。

「国立がん研究センターの研究グループでは、最新の研究結果を基に、日本人のがんと生活習慣との関係のリスク評価を行っています(詳しくは次ページのコラムを参照)。そこでは、野菜と果物を不足なく食べれば『ほぼ確実』に食道がんの発生リスクを低下させ、胃がんについてもリスクを低下させる『可能性あり』と評価しています。また果物は肺がんのリスクも低下させる『可能性あり』となっています」(津金さん)

食道がんの場合、下図のように、多く食べる人ほどリスクは下がっている。野菜と果物をあまり食べない人と比べて、どちらもよく食べる人は、がんになるリスクがほぼ半分だ。

<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_32Gooday.htm>

それでは、具体的に1日にどのくらい食べればよいのだろうか。

「野菜と果物を合わせて400gとることが推奨されています(*2)。さまざまな種類の野菜や果物を組み合わせて、1日で野菜を小鉢(70g程度のもの)で5皿、果物を1皿食べるように心がけてください。これで約400g摂取できます」と津金さんは説明する。

*2 厚生労働省でも「1日350gの野菜摂取」を目標に掲げている。例えば、ほうれん草のおひたし、野菜サラダといった小鉢(約70g)を5皿とれば実現できる。これに果物を1皿加えれば計400gとなる。朝食・昼食・夕食でそれぞれ各2皿程度とればいい計算だ。

野菜や果物には、各種のビタミン(葉酸含む)、ミネラル、ポリフェノール、食物繊維などのさまざまな成分が含まれている。「それぞれが持つ抗酸化作用や発がん物質の解毒作用、DNAの正常な複製維持作用などが、がん予防に役立っているものと推測されます。食物繊維の摂取は大腸がんのリスクを下げることも分かっています」(津金さん)

「野菜や果物の摂取は、脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防にもつながります。できるだけ意識してとるようにして、不足しないようにしましょう」と津金さんは話す。特に、外食の多い人は積極的にとるようにしたい。

たくさん食べればいいわけじゃない! サプリのとり過ぎも注意

では、野菜や果物をたくさん食べれば食べるほど、がん罹患リスクが低下するかといえば、そうではないと津金さんは話す。「一定以上食べても、がんの罹患リスクがさらに低下することはないという研究結果もあります。目指すべきは“ほどほど”です」(津金さん)

読者の中には、野菜や果物ががんにいいなら、βカロテン(ビタミンA)やビタミンCなどをサプリメントでとればいいのでは?と思う方もいるだろう。

津金さんは、「こうしたサプリメントが、がんの予防や治癒に効果があるという科学的根拠はまだありません。成分によっては、実験室の試験管で抗がん作用が認められたものもありますが、それを人間が摂取したときに同じ効果があると証明したデータはほとんどありません」と指摘する。

むしろ、サプリメントのとり過ぎが問題になる物質もあるという。例えば、脂溶性ビタミンだ。ビタミンCのような水溶性ビタミンなら、多くとっても不要な分は尿とともに体外に排出されるので問題ない。だが、水に溶けないβカロテンやビタミンEのような脂溶性ビタミンは、とり過ぎた分が体内に蓄積していく。

「βカロテンやビタミンEは、抗酸化作用があり、かつてはがんや循環器疾患のリスクを下げると期待されていました。しかし今では、大量にとると逆にがんや循環器疾患のリスクを高めてしまうことが、ランダム化比較試験という最も質の高いとされている研究により科学的に証明されています」(津金さん)。サプリメントというのは、あくまでも食事で足りない分を補うもの。既に野菜や果物を十分にとっている人が、そうした成分を含むサプリメントをあえて飲む必要はない。

なお、食道がん、胃がん、肺がんは、次回紹介するように、どれも喫煙との関連が強い。食道がんについては飲酒との関連も強いことが分かっている。いくら野菜や果物を食べていても、喫煙や多量の飲酒という習慣があっては意味がない。まずは禁煙と節度ある飲酒を第一にしつつ、野菜や果物を毎日食べるという生活習慣をつけるのが望ましい。

----------コラム----------

科学的根拠に基づく「がんリスク評価」

国立がん研究センターの研究グループでは、がん全体および部位別のがんについて、評価の対象となる研究方法(コホート研究、症例対照研究)で実施された論文を系統的に収集して、国際レベルの評価やメカニズム研究なども参考にして、それらの結果を基に、因果関係の確からしさの評価を実施し、「がんのリスク・予防要因 評価一覧」としてホームページなどで公開している。

国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」の「エビデンスの評価」の一部。(国立がん研究センターのホームページより一部抜粋)

評価は4段階になっており、「データ不十分」⇒「可能性あり」⇒「ほぼ確実」⇒「確実」の順に信頼性が高くなる。「確実」は疫学研究の結果が一致していて、逆の結果はほとんどないもの。「ほぼ確実」は疫学研究の結果がかなり一致しているが、その方法に欠点があったり逆の結果が複数あったりするために決定的でないものだ。

例えば、喫煙は肺がんを含めた多くのがんのリスクを上げるのが「確実」と評価されている。野菜の摂取は、食道がんのリスクを下げるのが「ほぼ確実」胃がんのリスクについては下げる「可能性あり」と評価されている。現時点での部位別の評価が一挙に分かるので、ぜひ一読いただきたい。
<http://epi.ncc.go.jp/cgi-bin/cms/public/index.cgi/nccepi/can_prev/outcome/index>

----------コラム----------

塩分の固まり「塩蔵食品」に注意!

次に気をつけたいのは、塩分だ。塩分のとり過ぎが、高血圧につながることは広く知られているが、塩分の過剰摂取はがんのリスクも高める。

「食塩の過剰摂取は、『ほぼ確実』に胃がんの発生リスクを高めます。健康食といわれ、ユネスコの無形文化遺産にも登録された『和食』ですが、全般的に塩分が多く含まれていることが欠点ともいえます。私たち日本人は塩分をとり過ぎていると言わざるを得ない状況です」と津金さんは語る。

現在の日本人の塩分摂取量は、1日当たり男性10.8g、女性9.2gだが、厚生労働省の目標値は、男性は8g未満、女性は7g未満と大きな開きがある(*3)。大まかに2割程度、塩分摂取量を減らす必要があるわけだ。

*3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)、厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」(2016年)

なかでも注意すべきなのが「塩蔵食品」だと津金さんは話す。これは、明太子、いくら、塩辛、練りうに、干物など、多量の塩により長期保存ができるようにした食品のこと。酒の肴(さかな)やごはんのおかずの“定番食品”だ。そうした塩分濃度の高い食べ物を食べ過ぎると、胃がんのリスクを高めると報告されている。

<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_33Gooday.htm>

このグラフは、日本人の男女約8万人を6〜9年間追跡し、塩分摂取が胃がんや脳卒中とどういう関係があるかを調査したものだ。これによると、胃がんのリスクはナトリウムの摂取量よりも、塩蔵食品に大きく左右されることが分かる。

「塩蔵食品は食塩の固まりのようなものです。これがまとまって胃に入ると、胃粘膜を守っている粘液層の性質を変えてしまい、胃粘膜が胃酸によって傷を受けて炎症を起こしたり、胃がんの元凶とされるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の持続感染をもたらしたりするのです。つまり、ピロリ菌がすみやすい環境になるわけです」と津金さん。

ピロリ菌については、次回詳しく説明するが、胃の粘膜にピロリ菌がすみ着いていると、がん化の進行を早めていくことが知られている。つまり、ピロリ菌を保持している人は要注意である。ピロリ菌感染率は、衛生環境が不完全だった時代に幼年時代を過ごした高齢者ほど高くなり、地域差もあるが、60代以上になるとおおむね5割以上の人はピロリ菌に感染している。

塩蔵食品は、胃にダメージを与える強いパンチのようなもの。あくまでも珍味として、たまに食べるくらいに抑えるとよいだろう。国立がん研究センターでも週1回未満に控えるように推奨している。

なお、「私はピロリ菌を除菌したから大丈夫」と思っている人もいるかもしれないが、安心してはいけない。生まれてからずっとピロリ菌を持っていない人なら、胃がんになるリスクは極めて低いが、中高年になってから除菌した人は、胃がんのリスクが残っている。生活習慣への注意と定期的な検診が欠かせない。

熱い飲み物や食べ物は少し冷ましてから

熱いスープや鍋物をふーふーしながら口に入れるのは、食事の楽しさと言いたいところだが、これも要注意。飲み物や食べ物を熱いままとる習慣は、食道がんのリスクを「ほぼ確実」に高める。

「熱いまま口に運ばれた食べ物や飲み物が、食道を通るときに粘膜を傷つけてしまうためです。人の粘膜についての明確なデータはありませんが、皮膚の場合は、70℃の熱を1秒間受けただけで組織の破壊が始まるといわれています。熱によって傷ついた粘膜細胞は、発がん性物質の影響を受けやすくなるため、結果的に食道がんの発生リスクを高めることになります」と津金さん。

確かに、70℃の湯を手や足にこぼしたら熱くてたまらない。下手をすると「やけど」になってしまう。ましてや、粘膜はもっとデリケートなものである。熱いお茶やスープ、味噌汁、おかゆなどの飲食物は、少し冷ましてから口に入れるように心がけたい。

実は、口の中と違って、食道は痛みや熱さを感じる知覚神経が少ないので、それほど熱さを感じない。まさに、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」なのだ。しかし、熱さを感じないからといって、熱い飲み物や食べ物をとり続けていると、粘膜がずっとやけど状態となり、がんのリスクが高まってしまうわけだ。

ちなみに、マテ茶と呼ばれる飲料を飲む習慣のあるブラジル南部やウルグアイでは、食道がんや咽頭がんの割合が高いことが知られている。これは、マテ茶の成分に問題があるのではなく、高温のマテ茶を金属製のストローを使って飲む習慣のためだと考えられている。

大多数の日本人にとって「赤肉」は発がんリスクを高めない

ここまでは「野菜・果物」「塩分」「熱いもの」という、まず注意すべき3項目について解説してきたが、これら以外にも「とるべき」、あるいは「避けるべき」と言われる食材がいくつかある。代表的なのが、赤肉・加工肉やコーヒーや緑茶、それに「こげ」などだ。これらのがんとの関係はどこまで明らかになっているのだろうか。

昨今、日本国内は空前の「肉ブーム」に湧いているが、実は欧米人を対象とした多くの研究で、赤肉と加工肉が大腸がんのリスクを高めるという結果が出ている。2015年にマスコミなどで取り上げられて話題になったのでご存じの方も多いだろう。赤肉とは牛肉、豚肉、羊肉のこと(鶏肉と魚肉は除く)、加工肉とはハムやソーセージなどのことである。

赤肉は、多量に含まれる鉄分が活性酸素を発生させ、遺伝子を傷つけて大腸がんのリスクを高めることなどが考えられている。加工肉については、保存のために使用される化学物質が大腸がんのリスクを高めることなどが考えられている。

そう聞くと、「じゃあ、明日から肉を控えるか」と思う人もいるかもしれないが、問題はそれほど単純ではない。およそ30万人のアジア人を対象とした複数の追跡調査によると、逆に赤肉を食べていない人の方が、がんや循環器系疾患による死亡リスク、そして総死亡リスクが高いという報告がある。(Am J Clin Nutr. 2013;98(4):1032-41.)。

これはどういうことなのか。

津金さんは、「欧米人は赤肉を食べ過ぎて発がんリスクが上がっているのに対し、アジア人は赤肉が足りていないことで栄養不足となり、発がんリスクや循環器病のリスクが上がっていると考えられます。肉に含まれる動物性たんぱく質は大切な栄養素。飽和脂肪酸も(過剰だと動脈硬化を起こし心筋梗塞のリスクを高めるが)、不足すると血管が脆弱になり脳卒中(特に脳出血)のリスクを高める。日本人も赤肉を食べ過ぎてがんのリスクが上がっている人より、不足して病気リスクが上がっている人の方が多いと思われます。ですから、欧米人のように大量に摂取するのでなければ、あまり気にする必要はありません」(津金さん)

もっとも、肉食ブームの進行で、日本人でも欧米人並みに赤肉を食べる人も出現しているようだ。そういう人は、こうしたリスクがあることを頭の隅にとどめておこう。

コーヒーや緑茶は発がんリスクを下げる?

多くの人が毎日飲んでいるコーヒー。近年は「カラダにいい飲み物」というイメージも定着しつつあり、その中には「がんにもいい効果がある」という話もある。実際はどうなのだろうか。

国立がん研究センターの研究では、日本人を対象にしたいくつかの研究結果に基づき、コーヒーは肝臓がんの罹患リスクを「ほぼ確実」に下げるとしている。

「約9万人を対象に10年間追跡調査した研究では、コーヒーをほとんど飲まない人と比べて、ほとんど毎日コーヒーを飲んでいる人は肝臓がんの罹患リスクがおよそ半分に、1日にコーヒーを5杯以上飲む人は約4分の1に低下することが報告されています(JNCI. 2005;97:293-300.)」(津金さん)。これは肝臓がんの最大リスク要因であるC型・B型などの肝炎ウイルスに感染している人でも、していない人でも同様の傾向が見られたという。

<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_34Gooday.htm>

このほか、国立がん研究センターの研究では、コーヒーを飲む習慣は、子宮内膜がんのリスクを下げる「可能性あり」と評価している。

なお、緑茶については、がん抑制の効果があるという研究があり、国立がん研究センターでは女性の胃がんのリスクを下げる「可能性あり」と評価している。ただし、緑茶については科学的根拠が十分でなく、まだはっきりとした結論が出るには至っていないという。

“こげ”を食べても大丈夫?

「こげたものを食べるとがんになるよ!」ということを、一度は耳にしたことがあるだろう。確かに、肉や魚の焼けこげに含まれるヘテロサイクリックアミン類や、炭水化物をこがしたときに発生する多環芳香族炭化水素には、発がん性があるとされている。ラットを使った動物実験で、実際にがんが発生したことで、広く知られるようになった。

だが、「そのときの動物実験を人間に当てはめると、毎日茶碗1杯もの大量の焼けこげを食べ続けるようなものです。いくら『おこげ』が好きな人でも、そんなに大量の焼けこげを食べる人はいないでしょう。そもそも、動物実験で証明されていても、必ずしも人間に当てはまるとはいえません。焼けこげと人間の発がん性に関する科学的根拠は、はっきりしていないのが現状です」と津金さんは話す。

このため、「日常生活で美味しく食べられる程度の焼けこげを心配する必要はありません」と津金さん。「脂の乗った焼き魚の焼けこげを神経質に削ぎ落とすよりも、その味と香りを楽しみながら食べるほうが健康的だと思います」(津金さん)

ただし、日常食べる量の焼けこげでは発がんリスクを心配する必要がないということであって、発がん性がまったくないというわけではないので、念のため。
          ◇       ◇       ◇

ここまで紹介してきた対策のほかに、津金さんは、科学的根拠はまだ十分ではないと前置きしつつも、大豆や魚の摂取もがんのリスクを下げる可能性があると話す(*4)。「特に魚の摂取は心筋梗塞などのリスク低減にもつながりますからお勧めです。私は『5つの健康習慣+魚を食べましょう』と推奨しています」(津金さん)。

*4 国立がん研究センターでは、大豆は乳がん・前立腺がんのリスクを下げる「可能性あり」、魚は子宮頸がんのリスクを下げる「可能性あり」と評価している。

魚や大豆、そしてこれまで紹介してきた「野菜や果物をしっかりとる」「塩分摂取量を抑える」といった対策は、他の生活習慣病の予防とも共通するので、既に実践しているという人も多いだろう。津金さんは、「実は、日本人の食生活は悪くないんですよ」と話す。

「昔の日本人の食生活は良くはありませんでした。めざしと味噌汁、漬物、そして多くのごはん、といった“古き良き”日本食です。戦後は欧米化して、肉や卵、牛乳なども食べられるようになりました。それによって寿命が延びたわけです。しかし、完全に欧米化したわけではありません。肉も食べますが、魚も食べています。肥満の面でも欧米人のように太っていません(*5)女性は70年代からやせる方向にあります。現代社会の身体活動量の減少に合わせるように、ごはんの摂取量が減り、総摂取カロリーも減少傾向にあります。一部、女性のやせ過ぎなどの問題も出ていますが、総じて日本人は賢い選択をしてきたわけです」(津金さん)

「特に、喫煙者や過剰飲酒者が少ない日本人の女性は模範といえるでしょう。野菜や果物の摂取を心がけ、肉や魚を適度に食べるなど、健康に気を使った生活をしている人なら過度な心配は無用です。ただし、塩分の摂取は多い傾向にありますから気をつけてください。『今の日本の食事』は総じて理想的ですが、例外が塩分です」(津金さん)

*5 肥満ややせ過ぎは、がんの罹患リスクを高めることも分かっている。詳しくは第3回で紹介する。

9月13日公開予定の第3回では、日本人が実践すべき「5つのがん予防習慣」の残り4つ、具体的には「禁煙」「節酒」「身体活動」「体型の維持」について解説していこう。(イラスト:増田真一)

津金昌一郎(つがね しょういちろう)さん
国立がん研究センター社会と健康研究センターセンター長
医学博士。1981年、慶應義塾大学医学部卒業、同大学院医学研究科にて公衆衛生学を専攻。日本人の食事、飲酒、喫煙など、生活習慣とがんの関係を長期にわたって調査研究する多目的コホート研究の主任研究者。『がんになる人 ならない人』(講談社)、『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』(祥伝社新書)など著書多数。
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第1回、第3回も併せてお読みください。

第1回がんの5割は予防できる!少しの知識で「がんリスク」が変わる
<http://mx4.nikkei.co.jp/?4_--_108722_--_8552_--_7>
第3回日本人最大のがんのリスク要因とは?
<http://mx4.nikkei.co.jp/?4_--_108722_--_8552_--_5>
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「『今の日本の食事』は総じて理想的ですが、例外が塩分です」といわれる塩分は、明太子、いくら、塩辛、練りうに、干物など塩蔵食品のことです。

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