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白米は悪いのか?フランス料理のシェフの疑問

6月23日のForbes JAPANのおにぎりの画像が気になって開いてみました。
<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_19_Forbes.htm>

Forbes JAPANの新着ニュースは画像だけです。
気になる画像をクリックして、本文を閲覧する仕組みです。
ですから、本文冒頭の画像にはありますが、以下のコメントもありません。
「未来のサッカー日本代表選手に差し入れた“日の丸”おにぎり」

ぜひ、ご紹介したく転載しました。
ニース在住のシェフ松嶋啓介さんの「喰い改めよ!!」より転載

糖質制限、糖質ダイエット、白米は太る……近年こんな言葉をよく目にしますが、僕は日本人として、百姓の孫として、なぜか腑に落ちません。お米を食べなくて日本人なのか? なんて少しナショナリズム的な考えを持ってしまいます。

と思うのも、今から4年ほど前に面白いことがありました。

2014年3月、日本の国技である大相撲の琴欧洲関(現鳴戸親方)が引退を表明。それに際し琴欧洲関は、ブログに「ブルガリア人が日本に挑んで国技を通して学んだことを、今後も伝承していきたい」という旨を書かれました。

日本人としてフランスでフランス料理に挑んでいる僕は、その内容に感動し、また琴欧洲関の境遇や考えが自分と似ているような気がして、「一度直接お会いしたい」という思いから、フェイスブックでいま流行りの“ゆる募”をしてみました。

すると、知人に紹介していただくことができ、その後、佐渡ヶ嶽部屋で琴欧洲関と稽古を見て、一緒に朝食をいただくという機会を得ました。特製のちゃんこを食べながら、琴欧洲関がブルガリアから来日した頃に困ったこと、僕が海外へ飛び出した理由、今後のことなどなど……。食卓には、角界一の美食家と言われる佐渡ヶ嶽親方(若貴時代のハンサム力士、琴ノ若)も同席されていました。

そして食の話に及ぶと親方は、最近の日本の子どもたちについて「食が細く、怪我が多い」「甘いものが好きで、禁止してもこっそり食べてしまう」「ジュースばかり飲む」などその乱れや歪みに困っているとのこと。一方で海外から来る若者は、日本人以上に身体ができ、反骨心や向上心を持って貪欲に取り組むためいい結果が出る、という相撲業界の悩みもうかがいました。

これは日本企業のグローバル化における悩みや優秀な外国人の台頭と似ているのでは、と思いますが、今回は食事の話。

お米は甘くなければならない

実は、この日話を聞きながら食べていた朝食に、歪み改善のヒントがありました。気づいてしまった僕は、大勢の弟子に囲まれる中、大きな親方と琴欧洲関を目の前に、勇気を振り絞って伝えることにしました。

「この部屋には全国から届く米俵や米袋がたくさんあるのに、残念ながらご飯(お米)が美味しくないのはなぜでしょうか?」。そして、料亭や割烹の最後に出てくる“土鍋のご飯”の話をさせていただきました。

「もうお腹いっぱいで食べれない、というときに出される土鍋で炊かれたご飯の香り……あれを嗅いでしまうと、どんなに満腹でも『少しだけいただきます』と言ってしまいませんか? みずみずしく艶がある炊きたてのお米を食べると、その甘さにとろけて、『もう少しだけお茶碗に』なんて手が伸びる経験はないですか?」

こう聞くと親方は、「それはよく解る、経験あります」と納得されていました。

この話で何を伝えたかったかというと、ご飯(お米)は甘くなければならないということです。お米が甘ければ、おかずはしょっぱくても、酸っぱくても、辛くても、味の表現がはっきりしてる方が相性も良く、ぱくぱくと食が進むものです。例えば博多生まれの僕でいえば、幼少期は少しの明太子でご飯を何杯も食べていました。

ところが稽古後にいただいた朝食は、ご飯がまずく(苦い)、ちゃんこは甘く脂が多く、漬物は減塩で柔らかく、梅干しは酸っぱくなく……現代社会の食の傾向である“甘い=美味しい”になっているのが問題だったのです。

料理では、「甘味、苦味、酸味、塩味、うま味」が基本五味とされていますが、日本人は味の表現として「甘味、苦味、酸味、渋味、辛味」をよく使います。

僕はこの5つの味を「手」で表現するのですが、親指が甘味で、ほかの4本が残りの味。どの指ともつきやすい親指(甘味)は日本の食卓でいうお米で、甘辛い、甘酸っぱいと、他のどの指(味)のおかずと合うというイメージです。

またこの日本の五味は、人生にも似ているなと思っています。甘味(幸せ)だけでなく、苦(苦しいこと)、酸(酸っぱい思い出)、渋(渋い出来事)、辛(辛い体験)を知るということによって、人は成長していくのではないでしょうか?

実はこの日はもう一つ、稽古にもヒントが隠れていました。それは、若い力士が何度も土俵で取り組んでいる一方、上位の力士ほど、入念なストレッチ運動やスナップのような手の動きのチェックしかしていないということ。そしてその手のしなやかな動きは、お米を研ぐ仕草に似ているような気がしました。

お米がまずい理由について、親方は「新弟子が力強く研ぐので、お米が割れたり、研ぎ方が雑からかもしれない」と言われましたが、食の面からも稽古の面からも「もしかしたら相撲の基礎は、まずお米研ぎではないでしょうか?」と、新弟子に研ぎ方のコツを伝授しました。

親方は指摘に驚きつつも、青森での幼少期に山菜をおかず代わりにたくさん食べて大きくなったことを思い出し、「お米の研ぎ方を見直し、食事の味付けの改善に取り組んでみる」と早速実践されました。それからの佐渡ヶ嶽部屋といえば、同年の九州場所では多くの力士が勝ち越し、2016年の初場所には10年ぶりに日本人力士(琴奨菊)が優勝という快進撃を続けました。

僕のアドバイスとの関連性は不明ですが、今でも部屋とお付き合いさせて頂けてるのは、食の歪みを見直すことが良い結果につながったからではないかと思っています。つい先日も稽古の見学へ行き、互いにアップデートをしてきました。

伝承された食文化を"忘れる"危険

さて、改めて見る日本の食卓は、西洋文化によってバラエティ豊かになり、またいい意味での日本化によって様々な料理が日本人の味覚に合うようにアレンジされ、根付いていっているように思います。

朝食に味噌汁や焼き魚、夜には時間をかけた煮物という昔ながらの習慣は変化し、朝はパンとコーヒーとヨーグルト、お昼はサラダとスパゲッティ、夜にはお肉と野菜、と欧米化してきている家庭も多いです。

もちろん時代の変化に逆らう必要はないと思いますが、伝承されてきた食文化を忘れる、無視すると歪みが生まれます。ゆっくり「食材の味を引き出した」ものではなく、ファストフードに代表される「味付けされた」ものが増えている事実に目を向け、それを食べている自覚を持ち、今の時代に合うバランスを見つける努力をすることが必要ではないかと思います。

ニースから車で2時間のところにトゥーロンという港町がありますが、ここを中心に毎年、若手選手のための国際サッカー大会が開催されます。ニースと近いこともあり、時間があるときは未来の日本代表選手たちに手塩を込めておにぎりを握り、差し入れに行きます。おにぎりの真ん中には、日の丸を意識して梅干しをひとつ。海外で食べるおにぎりは、日本で食べる以上に力と勇気をくれるものです。

海外へ旅行や出張に行くと、いくらその国の料理が素晴らしくても、なぜかお米が食べたくなるという衝動に駆られたことがある人はたくさんいるのではないでしょうか?

これに対し、糖質制限や炭水化物抜きダイエットの延長で、白米がまるで悪者になっている現在。もちろん食べ過ぎはよくないですが、日本人としてのアイデンティティと誇りを骨抜きにされているような感じがするのは僕だけでしょうか? フランス料理のシェフの疑問です。

<<過去記事はこちら>>
< https://forbesjapan.com/author/detail/926>



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