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「ビッグマック」を食べよう!

12月4日のHONZ(http://honz.jp/)の澤畑 塁さんの書評を読んで、早速「腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方」を取り寄せました。

まえがきは、「癒す心、治る力」のアンドルー・ワイルさんが書いておられ、

医療関係者も、健康に興味がある一般の人も、みな本書を読むべきだと思う。読了後には、ヒトの一部を成す微生物に関する発見について、きっと著者たちや私と同じ興奮を味わうだろう。

と結語しています。その書評と訳者あとがきを転載しました。どうぞ、ご一読ください。

レビュアー:澤畑 塁
1978年生まれ。専門書出版社に勤務。営業職。大学では哲学を専攻していたものの、最近の読書はもっぱらサイエンス系。ふたりの子どもと遊ぶ時間のため読書時間は半減しているが、それはそれでわるくないと感じている昨今。

100,000,000,000,000。 わたしたちひとりひとりの腸内にはそれだけの数の細菌がいるという。そうした細菌たちの集まりは「マイクロバイオータ」と呼ばれ、近年その研究が脚光を浴びている。本書は、マイクロバイオータとわたしたちの健康の関係について、微生物学者の夫妻がわかりやすく紹介するサイエンス書である。

マイクロバイオータと健康の関係については、すでにいくつかの文献が詳しく論じている。そんななかで本書の目新しさといえば、副題にもある「細菌の育て方」にクローズアップしている点だろう。腸内細菌が健康のための重要な鍵を握っているのだとすれば、よりよい細菌を獲得・維持するために、わたしたちはいったい何をどうしたらよいのか。本書はその点の具体策について述べた実践的な一書でもある。

そこでまずは、近年盛んに議論されている、マイクロバイオータと健康の関係についておさらいしておこう。冒頭で述べたように、わたしたちの腸内には100兆もの細菌が棲息しており、それらはそれぞれの場所で「生態系」を形成している。だが現在、加工食品の増加や抗生物質の過剰使用などにより、多くの人においてその生態系のバランスが乱れつつある。

そしてじつは、そのように腸内生態系のなかで混乱が生じていることこそが、ここ数十年で増加している疾患や不健康の一因となっているのではないか、と考えられているのである。具体的には、炎症性腸疾患にアレルギー、そして肥満や自閉症までもが、マイクロバイオータ混乱との強い関連が指摘されている。そういうわけで、上で触れたように、「わたしたちの健康を維持するためには、腸内細菌のバランスを維持することが重要だ」と考えられるのである。

ではあらためて、よりよい腸内細菌群を獲得・維持するために、わたしたちは何をどうしたらよいのだろう。経腟分娩、母乳哺育、はては糞便移植まで、本書ではさまざまな方法が紹介されている。しかし、何より重要なのはやはり食事であるという。曰く、「最強の手段は食事」なのだ。

ならば、どのような食事であれば腸内細菌をうまく育てられるのか。著者らによれば、その方法はおもにふたつある。まずひとつは、有益な微生物をたくさん食べること。これは、そうした微生物を多く含む発酵食品(たとえばヨーグルト、キムチ、納豆)を食べれば実現できる。そしてもうひとつは、腸内微生物たちに良質の食べ物を与えることである。「よい腸内細菌を維持したいのであれば、彼らにも十分な食べ物を与えよ」というわけだ。

いまの第二の点をよく理解するために、ここでヒトの消化器系のはたらきを見ておこう。わたしたちが口にした食べ物は胃で消化され、やがて小腸に達する。小腸では、単純炭水化物、アミノ酸、脂肪酸などが吸収され、ヒト細胞のエネルギーへと変換される。そしてその残り物、つまり小腸で吸収されなかった成分が、今度は大腸へと送られる。

大腸といえば、腸内細菌の大半が棲息している場所だ(胃や小腸にも微生物は棲息しているが、その数は大腸には及ばない)。したがって、腸内細菌に十分な食べ物を与えるためには、大腸まで到達し、なおかつ大腸内の細菌がエネルギーに変換できる成分を摂取することが重要である。具体的にいうと、食物繊維を含む複合炭水化物、著者らの言葉でいう「マック(microbiota accessible carbohydrates;マイクロバイオータが食べる炭水化物)」がそうした成分である。それゆえに、ここでの教訓は次のようになる。「ビッグマックを食べよ」。

マックを多く含む食べ物とは、具体的には、野菜、果物、豆類などだ。そしておもしろいことに、精製された穀物(たとえば小麦粉)はマックをほとんど含まないのに対して、未精製の全粒穀物は高マックである。というのも、精製食品は小腸内で簡単に吸収されてしまうが、未精製の粗い穀物は消化吸収に時間がかかり、大腸まで到達することができるからである。それゆえ、腸内マイクロバイオータという視点からしても、小麦粉より全粒粉のほうが、白米より玄米のほうが健康的だといえる。

というようにして、本書では、マイクロバイオータとわたしたち自身を健康にする方法が具体的に語られていく。巻末では「マイクロバイオータにやさしい1週間のメニュー」までも掲載されている充実ぶりだ。

ほかにも本書では、免疫系の調節や脳腸軸、マイクロバイオータの老化など、 興味深いトピックが続いている。それらを語る著者らの言葉もつねに平明で、前提知識がなくとも多くの人が楽しめるだろう。著者らが親の視点で子どもたちの健康を考えているのも、読んでいて好感のもてるところである。

同テーマを扱った本が続々と出ているが、本書はそのなかでも独自の視点をもった良書であると思う。食事と細菌と健康と。その関係について知りたいと思ったら、まずは本書に手を伸ばしてみるのがよいだろう。
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以下、「序文―――第二のゲノム」冒頭の転載です。

健康が遺伝に大きく左右されるのは誰でも知っている。それでも食事に気を配り、運動に励み、ストレスとうまくつきあえば、一般に健康な体づくりができることもわかっている。だが、そのためにどうするかが大きな問題だ。良心的な健康法の多くは減量や心臓病など特定の問題に焦点を合わせるが、トータルな意味で健康を維持するための秘訣があるとしたらどうだろう? 体重、気分、長期的な健康に影響する、第二の柔軟なゲノムがあるとしたら? しかも、そのゲノムが、ある特定の(驚くべき)生活習慣の選択によって変えられるのだとしたら? じつは、この第二のゲノムは存在する。それは私たちの腸内に棲みつき、いろいろな意味で私たちの健康全般に欠かせない細菌のゲノムだ。この微生物相(マイクロバイオータ)が健康と疾患にどうかかわるのかについて詳細がいま明らかにされつつあり、人間というものの定義を変えつつある。

がん、糖尿病、アレルギー、喘息、自閉症、炎症性腸疾患など、おもに欧米でよく見られる病気や症状の原因が科学者によって解明されるにしたがい、マイクロバイオータがこうした病気や健康の諸側面に重要な役割を果たしていることがわかってきた。私たちの体内で暮らす細菌は、ヒトの健康のあらゆる側面に直接、間接に影響を与えているのである。

私たちの腸内の住人は数十万年にわたって進化してきたが、こんにち新たな試練に直面している。現代社会では、食習慣(高度に加工され、高カロリーで、工業生産された食品の摂取)や他の生活習慣(抗菌剤で殺菌された家に住み、抗生物質を乱用する)が変化し、これらの変化が腸内に棲むマイクロバイオータの健康そのものを脅かしているのだ。
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以下、「付録」から転載。

▼有用菌をふくむ食品と飲料

乳製品:「はっ酵乳」などと表示されているものを探そう。
バターミルク クレームフレーシュ 発酵バター 発酵クリームチーズ、発酵サワークリーム ケフィア ラッシー 一部のチーズ ヨーグルト

野菜製品(※)
キムチ ピクルス ザワークラウト

穀物・豆類製品(※)
味噌 納豆 テンペ

その他 
コンブチャ(発酵茶) 乳製品以外の有用菌入り飲料

※加熱や調理によって生きた細菌は減ることを知っておこう。


▼食物繊維の1日あたりの推奨摂取量(単位:グラム)

児童
 1〜 3歳 19
 4〜 8歳 25

男性
 9〜13歳 31
14〜18歳 38
19〜30歳 38
31〜50歳 38
51〜70歳 30
70歳以降  30

女性
 9〜13歳 26
14〜18歳 26
19〜30歳 25
31〜50歳 25
51〜70歳 21
70歳以降  21
妊娠期間   28
授乳期間   29
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訳者あとがき

私たちの腸内にたくさんの細菌が棲んでいることは、ずいぶん前から知られていた。だが、これらの細菌が多様な病気にかかわっていて、肥満や気分にまで影響を及ぼすということがわかったのはここ最近だ。ところが、これらの細菌がいま絶滅の危機に瀕している。本書の著者たちによれば、加工食品の増加、抗生物質の乱用、帝王切開の普及、母乳哺育の衰退などがその原因だという。

では、人間と腸内細菌(マイクロバイオータ)の関係とはどのようなものだろうか。

本書の著者たちが、ある興味深い共生の例を挙げている。コナカイガラムシという観葉植物などにつく白い害虫がいる。どなたでも一度は目にしたことがありそうな、数ミリ程度の小さな虫だ。この虫の体内には、トレンブレイヤ・プリンケブスという細菌が棲みついている。この細菌は遺伝子の数がきわめて少なく、生存に欠かせない遺伝子をすべてもち合わせていない。ところが、この細菌の中にさらにモラネラ・エンドビアという別の細菌が棲んでいて、それらの足りない遺伝子を補ってくれている。本書の著者たちによれば、この二種の細菌の関係が、私たちとマイクロバイオータの関係に似ているというのである。

少し補足すると、コナカイガラムシは、植物の汁を吸って生きている。植物の汁は炭水化物をふくむが、タンパク質をつくるためのアミノ酸をふくんでいない。だが、トレンブレイヤ・プリンケプスがアミノ酸をつくるための遺伝子をもっている。しかしこの細菌がアミノ酸合成に必要なすべての遺伝子をもつわけでなく、モラネラ・エンドビアが残りの遺伝子を提供しているのだ。こうして、体内の二種の細菌がアミノ酸をつくる遺伝子一式を提供してくれるおかげで、この虫は生きていられる。なんと、この二種の細菌が何らかの損傷を受けるとコナカイガラムシは死んでしまうという。

コナカイガラムシの例が示唆するのは、私たちもまたマイクロバイオータなくしては生きていけないだろうということだ。では、ヒトの大切な友人ともいえるマイクロバイオータはどのようにして形成されるのだろうか?どのような生活習慣(とくに食習慣)がマイクロバイオータにとっていいのか? マイクロバイオータが抗生物質などで損傷を受けた場合にどう対処すればいいのか? 現時点では、これらの問いすべてに対する完璧な答えがあるわけではない。それでも、私たちにできることはたくさんあると著者たちは述べる。

マイクロバイオータがもつ遺伝子の集合体はマイクロバイオームと呼ばれるが、著者たちはこのマイクロバイオームを「第二のゲノム」と呼ぶ。そして、私たちヒトゲノムは変えられないが、マイクロバイオームは変えられると言う。生まれる時に母親からきちんとマイクロバイオータを受け継ぎ(場合によっては母親の膣内微生物を塗ってもらう)、母乳でさらに強化し(全面的な母乳哺乳こだわることなく、寝る前に少し母乳を与えるだけでもいいという)、マイクロバイオータに配慮した食事(マイクロバイオータの餌になる食物繊維を多くふくむ食事)を心がければいい。また抗生物質は、マイクロバイオータに重大なダメージを与える。だから、不幸にもクロストリジウム・ディフィシル感染症のように重篤になりがちな感染症にかかった場合には、抗生物質の服用にこだわることなく、最近のカクテルや糞便移植などの選択肢も考慮に入れよう。ちなみに著者たちが期待を寄せているのが、マイクロバイオータがつくる化学物質の使用である。現段階ではまだ確立されていない技術だが、将来的には安全な治療法になるのではないかと彼らは述べる。

本書は、健全なマイクロバイオータを育てる種々の方法を提案するが、その最たるものはやはり食事だ。なかでも、一番大切なのが、小腸で吸収されずにマイクロバイオータがいる大腸にまで届く食物繊維の摂取だ。巻末に一週間分のレシピが載せられているので、参考にしていただきたい。レシピをみて、なんだかエキゾチックで、よくわからないという方も心配はいらない。なにもすべて、そのままやってみることもないのだ。とりあえず、ヨーグルトや食物繊維をもっと食べようというぐらいの気持ちで始めてもいいのだと思う。反対に、これに類するレシピをすでに食事に取り入れていらっしゃる方は、どうか、そのまま続けられますように。

本書は、The Good Gut:Taking Control of Your Mood,and Your Long-term ealthの全訳である。本国アメリカの刊行は2015年4月で、米アマゾンで131人読者がレビューを投稿しているベストセラーだ。また著者二人の研究や生活ぶりは、2016年1月に日本でも「世界ふしぎ発見!」で「育腸」の実践者として紹介されたのでご記憶の方も多いだろう。

著者の二人は、いずれも微生物学者のジャスティンとエリカ・ソネンバーグ夫妻である。ジャスティンはスタンフォード大学スクール・オブ・メディスン微生物・免疫学部の准教授、エリカは同学部で上級科学研究員の職にある。夫妻には幼い娘さんが二人いて、この二人の子育てのエピソードがたくさん紹介されているのも本書の特徴といえる。たとえば、夫妻がマイクロバイオータのために食生活を根本的に見直したとたんに、長女の便秘が嘘のように治った。だが幼い子の食生活を変えるにあたってはだいぶ苦労もあったらしく、お子さんをお持ちの方には参考になるだろう。また食事を見直したあと
で生まれた次女は、長女のような便秘は経験しないという。

本書を翻訳する機会をいただいて、私自身も食生活をかなり変えた。だが意志薄弱な私は著者たちのように食生活を根本から変えるにはいたらず、だいぶ元に戻っている。それでも現在食べているものの半分くらいは、この本に出会う前と違っていると思う。それが目的ではなかったが、体重が少し減った。これは少し頑張った私へのご褒美かもしれない。

最後にこれまでの食習慣を見直すきっかけになった本書を紹介くださった早川書房の伊藤浩氏、全体のトーンをふくめて丁寧な編集をしてくださった同社の窪木竜也氏、細かなところまで目の行き届いた校閲をしてくださった永尾郁代氏、そのほかお世話になった多くの方々にお礼申し上げる。

2016年10月 鍛原多恵子
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腸内細菌の餌になる水溶性食物繊維が豊富な「もち麦」が、毎月1回、わずかにしか入荷できず、ご迷惑をおかけしています。一時的なブームでなく、食習慣化されるといいのですが、、、。
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