トップページ知って得する講座この豚の角煮のレシピがすごい!

この豚の角煮のレシピがすごい!

「このレシピがすごい!」の著者が土屋 敦さんと知って、すぐに求めました。あのペペロンチーノの「男のパスタ道」の著者だからです。
<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titoku282.htm>

昨年4月に読売新聞で始まった「100年レシピ」は、今年2月28日に「すき焼き」と「太巻きずし」で最終回でした。その中にある「豚の角煮」を、「このレシピがすごい!」では奥薗壽子さんのレシピで取り上げていますので、作りくらべしてください。

▼bW5豚の角煮/1984年(昭和59年)1月30日掲載
中華料理「東坡肉(トンボーロウ)」の影響を受けた料理
「読売新聞家庭面の100年レシピ」(2015年発行文藝春秋)より

材料(4人分)
豚肉(バラ肉)・・・400g
A|ネギ、ショウガ(薄切り)・・・各少々
 |水・・・2カップ
 |酒・・・大さじ3
しょうゆ・・・大さじ2
砂糖・・・大さじ1弱
ブロッコリー・・・200g
B|だし・・・1カップ
 |塩・・・小さじ1/2強
 |砂糖・・・小さじ2と1/2
練り辛子・・・適宜

作り方
1 豚肉は5p角に切り、熱湯でさっとゆでてから水で洗う。
2 厚手の鍋に1とAを入れて、火にかける。煮立ったらあくを取り、弱火で30分煮る。
3 しょうゆと、砂糖を加え、さらに約1時間弱で煮る。煮汁がほとんどなくなったら火を止める。
4 ブロッコリーは食べやすい大きさに房をほぐし、塩(分量外)を入れた湯でゆで、軽く水にとる。鍋にBを入れて、煮立ったらブロコリーを加えてさっと煮る。火を止める前にしょうゆを少々(分量外)をたらす。
5 4の煮汁とブロッコリーを別にして冷まし、冷めてからブロッコリーと合せておく。
6 器に豚の角煮を盛り、練り辛子をのせ、ブロッコリーを添える。

※長崎では江戸時代に中国や欧州の料理を取り入れて生まれた卓袱料理の一つとして伝わる。

▼奥薗壽子 豚の角煮
合理的な精神と批評性に貫かれた驚異の角煮

本書には奥薗壽子さんのレシピだけが、2つ掲載されている。1つを外して、他に載せるべき料理家のレシピもあるだろうが、日本のレシピ本の戦後史を俯瞰して見るとき、何度考えても、2つとも絶対に外せない、と思ってしまうのだ。

奥薗さんは、料理研究家の世界においては、傍流の出自と言える。2001年、サンマーク出版という、料理書の世界では主流とは言えない出版社から「ズボラ人間の料理術」というタイトルも内容も一風変わった本を出版し、翌年、テレビ番組「TVチャンピオン」の3分料理人選手権で優勝して一躍話題の人となる。肩書は「ナマクラ流ズボラ派家庭料理研究家」。その「流儀」は、戦後の女性料理研究家の主流をなす2つの系統、すなわち、手塩にかけて、丁寧に料理することで家族の命を守る「母の味」系とも、おしゃれでおいしく洗練された料理を作ることで、女性たちの憧れの対象となる「カリスマ主婦のレシピ」系とも相反するもの。長い間主婦に対して「「こうでなくてはならない」と突きつけられてきた良妻賢母の呪縛を解き放つような、本音の料理観が多くの人の支持を得たのだ。

奥薗さんは自分の料理の失敗談をよく書いているが、それを読むと、非常に知性的な人だということがわかる。肉豆腐がうまく作れなかった、というとき、まず、既存のレシピで作成し、豆腐が水っぽい、肉の味が抜けている、といった欠点を見出す。そしてその欠点をいかに解決するかを考えるのだ。がんもどきのレシピでも、問題点を「豆腐の水切り」と「油で揚げる」という2つの工程にフォーカスし、既成概念を打ち破るような手法で問題解決を図っている。

彼女には、伝統を学ぶ知性が、そしてその伝統と既成概念を打ち破る合理的精神と批評性がある。(その見事な結実が次の黒豆のレシピだといえよう)。と同時に「おおらかさと楽しさとユーモア」も奥薗流の重要な要素だ。そして仮に前者と後者がぶつかり合うときは、迷わず後者を優先する。だから奥薗さんのレシピは、常に明るさと健全さを纏っていて、作っても食べても元気が湧き、うれしい気持ちになってくる。「料理はストレスを発散する手段であり、ストレスをためる原因になってはいけない」という彼女の言葉に深く頷くのだ。

お母さんが料理嫌いで小学1年生のときから台所に立っていた、という話は有名だが、この「ズボラ人間の料理術 定番レシピ」には、彼女が子どものときの一家の食事をめぐるエピソードも記されている。

奥薗さんは、子どもの頃、近所の遊園地のマス釣り池に、休みのたびに家族で釣りに行ったそうだ。釣れたマスはすべて買い取らなければならないシステムで、いつも大量のマスを持ち帰るはめになる。料理嫌いのお母さんの料理は至ってシンプルで、その日から毎日、マスの塩焼きが食卓にのぼり続ける。うんざりして飽きてしまいそうなところだが、お父さんの魔法の言葉がそれを救う。

「うまく食べられた魚の骨は博物館に飾ってもらえるよ」

そして、食べ終わった骨をチェックして、

「よし、合格。博物館行き!」

その「合格」の言葉がうれしくて、奥薗さんは毎日マスでもちっともいやじゃなかったとか。

他にも、なぜか家族で蚕の飼育にハマって、お父さんと電車に乗って毎週餌の桑の葉を取りに行くようになり、「桑の葉は、天ぷらにするとうまい」とお父さんが突然言い出したせいで、毎週日曜日の夕食が桑の葉の天ぷらになってしまったこと、そして、その天ぷらを作ったあとの後片付けのとき、お母さんが、余った衣をフライパンで焼いてたっぷり練乳をかけてこっそり食べているところを見つけちゃったことなども綴られている。

いやー、何と楽しげで、幸せそうな家族の食事風景なんだろう。料理のうまいまずい以前に大切なことがあることを思い出させてくれる。奥薗さんの料理の明るさや健全さは、そんな子どもの頃の体験に育まれたのだろうとつくづく思うのだ。

さて、奥薗さんの豚の角煮レシピは、当時、本当に本当に、驚くほどにものすごく画期的だった。まず豚バラの薄切り肉にはちみつしょうが汁を揉み込み、10分ほどおく。さらに醤油を揉み込んで、くるくると巻き、スパゲッティを刺してほぐれないようにする。土鍋に醤油、酢、水を入れて沸騰させ、そこに巻いた豚バラ肉を入れて5分煮て火を止め、バスタオルでくるんで温度が下がらないようにする。15分経ったらふたを取ってもう一度火にかけ、煮汁を煮詰めて完成。チンゲンサイをゴマ油と塩で炒めたものを器にのせ、その上に角煮を煮汁とともにのせる。

薄切り肉をくるくる巻いて、塊肉のように扱う。爪楊枝代わりにスパゲッティで刺して止める。この楽しげで斬新な2つの手法は、わずか十数年で、今やスタンダードといっていいものになっている。そのことは、彼女のやり方が、ただ奇を衒っただけではない、よくよく考えぬかれた方法であることの、なによりの証左だらう。

奥薗壽子 豚の角煮
「ズボラ人間の料理術 定番レシピ」(2003年発行サンマーク出版)より

材料
豚バラ肉(薄切り)・・・400g 
しょうが汁・・・2かけ分 
はちみつ・・・大さじ4
しょう油・・・大さじ2
スパゲティー・・・少々
しょう油・・・大さじ2
水・・・2カップ
酢・・・大さじ1
チンゲンサイ・・・2株
ごま油、塩・・・適宜

作り方
1 豚バラ肉ははちみつとしょうが汁をよくもみこみ。時間があれば10分ほどおく。
2 さらに1にしょう油をもみこんで、端からくるくる巻いてスパゲッティで留める。
3 土鍋に水としょう油と酢を入れて火にかける。
4 沸騰したら、2を入れ、ふたをして5分ほど煮る。
5 そのまま火を止めて、バスタオルなどで巻いて温度が下がらないようにして15分おく。
6 もう一度火にかけて煮汁を蒸発させる。
7 煮汁が少し煮詰まったらできあがり。
8 もしあれば、チンゲンサイをごま油と塩で炒めたものを皿に盛り、その上に煮汁と共に角煮を盛る。

▼以下は「このレシピがすごい!」のはじめにから転載しました。
--------------------------------------------------------------------
すごいなぁ、と作ってみて思わず感心してしまうレシピがある。読者の方のなかにも、料理本のレシピを作ってみて、そのおいしさに感動したり、作り方の簡単さに驚いたり、失敗なくつくれるコツに感心したりしたことがあるだろう。本に載っていたレシピを気に入り、自分流にアレンジしつつ、ずっと作り続けている人も多いはずだ。

しかし、すばらしい傑作レシピであっても、その多くが時とともに忘れ去られ、埋もれてしまう。

もしレシピが一編の小説であったなら、名作として語り継がれたり、ブックガイドで幾度となく紹介されたり、アンソロジーに加えられたりして、長きにわたって人々の目に触れ続けるかもしれない。一編の詩であったなら、誰もが慣れ親しんで諳んじているかもしれない。

傑作小説や名詩のように語り継がれてもおかしくないレシピだってある。私はそう思っている。

本書は、小説のアンソロジー名詩選を編むようなつもりで、私はすごいなぁ、と思ったレシピたちを集めた本だ。加えてそれぞれのレシピのどこがすごいのかについて、そしてレシピを考え出した料理家、あるいはそのレシピが掲載されていたレシピ本などについてもかなり思いを込めて解説している。

もちろん、この世のすべてのレシピに目を通して客観的にすごいレシピを選んでいるわけじゃない。それどころか、見る人が見たら、「すごい偏っているよ」なんて言われそうでもある。

いわゆる料理本は月百点以上刊行されているそうだ。この本を作るにあたって、新に数々の料理本に目を通すことはしていない。掲載したレシピたちは、これまで読んできた料理本、作ってきたレシピの「記憶のストック」から選び出したものだ。料理研究家であり、また書評家であるため、人よりは料理本に目を通していると思うが、それでも拠り所にした「記憶のデータベース」はせいぜい三千冊分ぐらいだろうか。

だから、本書で取り上げたのは、私の経験と結びついて記憶に残ったレシピや、背後に隠れている料理に対する哲学、料理家自身の姿勢に個人として感動してしまったレシピである。

なぜあのレシピが載っていないのか、あの料理本、料理家が取り上げられていないのはなぜか、といった疑念の声が上がるのはもっともである。私自身、まだまだ取り上げたい「すごいレシピ」がたくさんあり、また、すごい料理家の先生たちについてもっともっと語りたかった、とも思っている。

加えて言えば、本書には、出版からある程度時間が経った本のレシピを中心に掲載している。発売直後に読み、実際に作って素晴らしいと思ったレシピでも、その後、さまざまな経験をしたあとで、それほどでもないと思ってしまったり、いつのまにかすっかり忘れてしまうようなレシピも結構あるからだ。その意味で本書のレシピは、時間の経過に耐えて今なおすごいレシピたちと言うことができるだろう。

レシピというものは、それを作った人とその家族の幸せに直接に関わっていると思う。そして、その家族が継承すべき「おふくろの味」を形づくったり、未来そのものである子どもたちの健康を支えたりしている。すぐれたレシピは、人々の心に働きかける価値がある芸術作品であり、同時に素晴らしく役に立つ実用品でもある。

本書で私は、大好きな本について語るように、さまざまな角度から大好きなレシピたちのすごさを語りまくっている(料理研究家で書評家なので、筆が止まらなくなって暴走しがちな状態になり、編集者も困ったことだろう)。その文章を面白がってくれたらとてもうれしいが、なにより、それぞれの料理の作り方もしっかり紹介しているので、どんどん作ってみてほしい。論より証拠、きっとそのすごさを実感していただけるはずだ。

▼以下は「丸元淑生のクック・ブック」のまえがきから抜粋引用しました。
--------------------------------------------------------------------
本書は家庭料理の基本の組み立てと、日常的な食品の調理法を述べたものである。わが国では調理法ということばには特別のひびきがないのだが、それは調理法に大きな価値おく人が少ないからだろう。調理法を英語に訳すとレシピ(recipe)である。私がおもしろいと思うのはレシピという英語には価値のひびきがあることだ。英語圏では伝統的に完成したレシピや、すぐれた創意になるレシピは、一個の文化であるという認識がひろくいきわたっているからだろう。

私は外国に行くと書店を回って料理書のコーナーに立つのをたのしみにしている。わが国と違ってカラー写真のたくさん入った料理書はほとんどないのだが、そこは際立って文化の香りのする場所である。並んでいるのはレシピを述べたものがほとんどで(随想、感想、批評の文章が棚を埋めているわが国とはその点でも対照的である)、十年あるいはそれ以上の歳月を費やして成ったというレシピ集が多い。

そういう本を読んで一つ一つのレシピが蓄積された知識の結晶であり、しかも現代の栄養学に照らして理に適っている場合には深い感動を覚える。そして、実際に料理をつくってみるとあまりにもうまくいくのでまた驚かされる。びっくりするようなおいしい料理が多くの場合、実にかんたんにできてしまうのだ。
--------------------------------------------------------------------

「このレシピがすごい!」に、素材の驚くべき一体感として、丸元淑生さんの続・新家庭料理より「タラのグラシオサ風」が取り上げられています。

小泉武夫先生の「食の堕落と日本人」に次のような話があります。

私が「ドイツに帰ったら直ぐに結婚するのですか」と尋ねると、彼女は平然としてこう答えたのだ。
「いえ、まだ出来ないのです。好きな人はいるけれど、結婚はまだまだ・・・・・・」

立ち入ったことと思いつつ、その理由を聞いて驚いた。

自分の家に代々伝わる家庭料理のレシピを、まだ習得していないからだというのである。「全部で40種類くらいあるのですが、母から教えてもらったのはまだ半分くらい。まずそれをすべて覚えなくては。結婚はそれからです」
--------------------------------------------------------------------

このドイツ人留学生のように伝統食の体系は母親から娘、またその娘へと継承されていくものですが、丸元淑生先生によれば、日本の場合、現在の60代、70代になっている女性たちが、その前の世代の料理を継承しなかったために、その糸がぷつんと切れてしまったといわれています。

新しいもの好きな国民性とはいえ、一つの民族が何世代もかけて、どうすれば適切な栄養の摂取が出来るかを追及し到達した料理の体系を捨て去るのはあまりにも愚かなことです。

是非、「100年のレシピ」をお求めください。

そして、社団法人農山漁村文化協会発行の「日本の食生活全集」は、都道府県別になっています。ふるさとの昭和の初めの暮らしを知ることができます。



                         トップページに戻る               ▲ページの先頭に戻る

サイトマップ商品一覧
ふんわりシフォン日記お客様のご感想集Mrs.KURIの簡単レシピ集ふれあい写真館

FLOURひろ:〒145-0071東京都大田区田園調布1-31-11:tel 03(5755)5050