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食品に仕掛けられた至福の罠、、、。

久しぶりに読み応えのある、「SALT,SUGAR,FAT」と題した本 (邦題はフードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠)に出会いました。その切っ掛けになりました、8月29日の日経ビジネスオンラインの著者のインタビュー記事と著書のSALT(第V部塩分)を抜粋転載しました。
「塩」を正しく理解するために、どうぞ!ご一読ください。

マイケル・モス著・本間徳子訳「フードトラップ第V部塩分」より抜粋転載

1980年代後半、ある脅威への注意を呼びかける報道番組や論説がにわかに増えた。その脅威とは高血圧である。保健調査から、米国人の4人に1人が高血圧で、しかも患者数が増えていることが明らかになったのだった。医師たちも各地で記者発表を行って危険性を訴えた。高血圧は、うっ血性心不全など命にかかわる症状を起こすまで気づかずにいる人も多く、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」というあだ名までついた。正確な原因は明らかになっていないが、主な要因として肥満、喫煙、糖尿病などが挙がっている。塩分もその一つだ。

問題は、塩そのものではなく、食塩(塩化ナトリウム)を構成する元素の一つ、ナトリウムにある。さらにややこしいことに、ナトリウム自体がまったくの悪者というわけでもない。少量のナトリウムは健康維持に不可欠だ。問題は、米国人がナトリウムをとにかく取りすぎていることにある。摂取量が、必要量の10倍、人によっては20倍にも達しているのだ。この量は、必要量どころか、体が処理できる限界量もはるかに超えている。ナトリウムを取りすぎると、体の組織から血液中へと水分が引かれて、血液量が増え、心臓はより強く血液を送り出さなけれならなくなる。その結果、血圧が上昇する。

-----<中略>-----

ではこの塩分は一体どこから来ていたのだろうか。

答えを出したのは、1991年、栄養学の専門誌『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・カレッジ・オブ・ニュートリション』に掲載された研究報告だった。米国人のナトリウム摂取源を突き止めるため、2人の研究者が巧みな実験を行ったのである。彼らは、料理に塩をかけるのが好きな62名の成人を集めて、計量済みの食塩シェーカーを手渡し、自宅で1週間使ってもらった。

-----<中略>-----

62名の参加者たちは、その1週間、食べたり飲んだりしたものを細かく記録するよう指示された。

-----<中略>-----

飲料水はナトリウムをほとんど含んでいなかったため、摂取源の候補から除外された。ナトリウムは、ブロッコリーやホウレンソウなどの食品にも含まれている。が、これらの食品は暴食でもしない限り数値に差は出ない。食事に含まれる天然のナトリウムは、全摂取量の10%強にすぎなかった。そして、問題のシェーカーは、全摂取量のたった6%しか占めていなかった。

この研究が数世紀前に行われていたら、結果はずいぶん違っていただろう。たとえば16世紀のスウェーデンで広く食べられていた魚の塩漬けなどは、現在よりさらに多いレベルまでナトリウム摂取量を押し上げていた。それに、冷蔵庫が発明されるまで、塩は肉や魚の保存に世界中で大量に利用されていた。しかしモネル研究所の実験に参加した人々では、食物中の天然のナトリウムと、食卓で最後に加えられるナトリウムは、合せても全摂取量の2割弱しかなかった。残りはどこから来ていたのだろうか?

この研究が行われた1991年は、自宅で料理する米国人が急減し、その分、加工食品の消費量が着実に増えていた時期だった。実験参加者たちも例にもれず、料理の多くをスーパーの陳列棚で調達していた。その便利さの対価が塩分だったのである。参加者たちの1週間の塩分摂取量の4分の3が加工食品由来だったことを、モネルの研究者たちは突き止めた。マカロニ&チーズであれ、チキンディナーであれ、スパゲティソースやミートボールであれ、ドレッシングであれ、ピザであれスープであれ、ありとあらゆる商品に大量の食塩が投入されていたのだ。減量を目指す人や糖尿病などをコントロールしたい人向けとうたった、低脂肪・低糖の商品でさえ同じだった。食料品店の店頭に、塩分が使われていない商品はごく少数しかなかったといえる。塩分は、加工食品の消費量と売り上げを増やすためのツールとして糖分や脂肪分と同じかあるいはそれ以上に重要な存在となっていた。
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消費者にとってさらに困ったことに、われわれの血液中に大量のナトリウムを注入しているのは、今や食塩だけではない。食品メーカーは他のさまざまなナトリウム化合物も添加物として投入しているからだ。細菌による腐敗を遅らせて賞味期限を長くしたり、原材料どうしを結合させたり、プロセスチーズ中のタンパク質と脂肪のように通常なら分離してしまう材料を混ぜるのに、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウムといった化合物が使われる。すべてを合わせてもナトリウム量は食塩より少ないとはいえ、これらの化合物は加工食品にあふれている。食塩が9ヵ所登場した「ハングリーマン」の冷凍七面鳥ディナーの成分表示には、食塩以外のナトリウム化合物も9ヵ所登場していた。

-----<中略>-----

だが塩分に関して言えば、少なくとも消費者には希望がある。塩分への依存は簡単に解消できることがわかってきたのだ。必要なのは、加工食品を食べるのをしばらくやめることだけである。

このささやかな知恵は、低塩分食を取らざるを得なくなった人々には以前から直観的に知られていた。それを科学的に検証したのがモネル研究所だ。塩分がはじめて連邦政府のレーダーに引っかかった1982年、モネル研究所の所長ゲリー・ビーチャムが一つの実験を行った。実験に参加したのは女性6人と男性3人。彼らは、特定の加工食品を避けることで塩分摂取量を半分に減らした。最初の2〜3週間は、なじんだ食べ物を被験者が恋しがったことを除けば、特に何も起こらなかった。しかしそれから、少しずつ少しずつ、劇的な変化が起きていった。被験者たちの塩味好きは変わらなかった。しかし、塩辛い食べ物の爆撃に慣れっこになっていた味蕾が変化したのである。被験者たちの塩味の味覚は、衰えるどころか、逆に感度が高まった。そのため、塩分を減らしても以前と同じように食べ物を楽しめるようになった。しかも、連邦政府が推奨する上限を十分クリアできるほど、減らすことができた。ビーチャムは私に言った。

「低ナトリウム食を12週間続けた後、食塩シェーカーを好きなだけ使ってくださいといって食事を取ってもらいました。彼らが料理に加えた塩分は、われわれが除去しておいた塩分の2割程度でした」験者たちは、事実上、塩分から(少なくとも命に関わるような塩分摂取量から)自らを解き放つことができたといえる。

これは、塩分から離脱したいと考えるすべての消費者にとって朗報だ。しかし食品業界にとっては、依存問題の根はもっと深く、もっと複雑だった。
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フリトレー(Frito-Lay)は、「ドリトス」「チートス」「フリトス」などの大ヒット商品を持つ、年商40億ドル規模の菓子メーカーである。コーンとコーン油と食塩を主原料とするこれらの商品はどれも、シンプルだが油脂たっぷりのスナック菓子だ。

リスキーのフリトレー入社は1982年。ちょうどロバート・リンと入れ違いだった。前職はモネル科学感覚研究所の研究員で、塩味の薄い食事をしばらく続けていると味蕾が感度を取り戻して高塩分食をやめられるということを発見したチームに参加していた。
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20代の若者は、中年のベビーブーマーが想像もしなかったような量のスナック菓子を食べていた。しかしフリトレーにとってうれしいことに、ブーマー世代だけで見れば、20代当時より30代のほうがスナック消費が増えていた。しかもブーマー世代だけではなかった。平均すると、すべての米国民が、塩味の効いたスナック菓子を年々たくさん食べるようになっていたのである。リスキーが詳しく解析してみると、1人当たり消費量は毎年150グラムほど増えており、チップスやチーズクラッカーといったスナック菓子の年間平均消費量は約5500グラムに達していた。

リスキーは、ブーマー世代のスナック消費が増えた理由を次のように説明した。彼によれば、きちんと食事を取ることは過去のものになったという。特にブーマー世代は、朝食・昼食・夕食という昔ながらの概念を放棄してしまったようだ。少なくとも、3度の食事はかつてのような日常の習慣ではなくなった。まず、早朝ミーティングが普及して、朝食が抜かれるようになった。ミーティングがほかの仕事にも響き、遅れを取り戻すため昼食が抜かれるようになる。夜は夜で、子どもが野球の練習に参加して帰宅が遅くなる。それに大学生にもなれば自宅を離れてしまう。親は次第に夕食を取らなくなる。しかし、ブーマー世代が空腹を抱えたわけではない。彼らは食事を抜いた分をスナック類でまかなうようになった。スナックなら、キッチンの食品棚や、街角のコンビニ、会社の自動販売機で手に入り、すぐ食べられる。リスキーは言った。「われわれは思わず言ったよ。『おいおい、あっちでもこっちでも食事抜きだ』と。驚いた」。
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ポテトチップスは、かつてフリトレー重役が危機感を持った「ジャンクフードの代名詞」どころでない。消費者に最大限にアピールするため塩分・糖分・脂肪分を駆使する加工食品全体の縮図のような食品だ。脂肪分や歯ごたえや代替食塩による味付けで製品の魅力を保てるなら、そして広告キャンペーンによって好きなだけ食べていいという心理的パーミッションを消費者に与えることができるなら、フリトレーはポテトチップの塩分を完全になくして、健康的というオーラをいくらでもまとわせることができるだろう。それでも、ポテトチップが高カロリーであることは変わらない。そしてそれこそが肥満の究極の原因なのだ。

▼NaとClだけでなくミネラルが豊富に入っている
そして、ミネラルが体に吸収されるようイオン化している・・・蘇生塩
<http://www.chiffonya.com/shop/mineralbalancesalt.htm>


▼肥満に「強い意志を持て」は間違い
無知では食品メーカーの思惑通りになってしまう:インタビュアー細田孝宏8月29日の日経ビジネスオンラインより転載

大人の3人に1人、子供も5人に1人が肥満に該当する米国。生活習慣病をはじめとする疾患と食生活との関連性が指摘される中、ニューヨーク・タイムズ紙のマイケル・モス記者は、大手加工食品メーカーが塩分・糖分・脂肪分を巧みに配合し、消費者の舌を刺激し続けてきた裏側を1冊の本にまとめた。『SALT SUGAR FAT』と題したその著書(邦題は『フードト ラップ』)でモス氏は何を訴えようとしたのか。

―なぜ、塩分(Salt)、糖分(Sugar)、脂肪分(Fat)という3つを取り上げることになったのですか。

マイケル・モス氏(以下、モス):私は2007年に米国で起きたハンバーグ肉汚染による大規模食中毒について調査をしました。その中で情報源となった人から、「食と健康に関することを知りたいのなら、塩を見るとよい」と教えられました。

次に私はこんな質問をして歩きました。「塩のほかに食品メーカーが製品に加えているものは何か」。砂糖と脂肪でした。

塩、砂糖、脂肪。この3つは加工食品の三大要素なのです。食品メーカーが頼りにする柱と言っていいでしょう。安価で、混ぜやすく、そして適切に配合すれば、抗しがたいおいしさが生まれるのです。

知識こそが力になる

―シリアル、アイスクリーム、ピザ、ポテトチップス……。本書で挙げているのは、アメリカ人ならずとも食べているものばかりです。現実は加工食品なしで生活していくのは難しくなっています。我々はどう付き合っていけばいいのでしょうか。

モス:私はアンチ加工食品を意図してこの本を書いたのではありません。

私には2人の息子がいます。10歳と14歳になります。妻は外で職を得ており、我が家の朝は本当に慌ただしい。この忙しい毎日をやりくりするにはある程度、加工食品に頼らざるを得ません。ですから、加工食品が私たち家族を支配するのではなく、我々が加工食品をコントロールするように努めています。問題は、塩、砂糖、脂肪、それ自体ではなく、取り過ぎることなのです。

加工食品を減らすことだけが解決法になるわけではありません。栄養の観点から言えば、より多くの野菜や、加工されていない果物を食べることが健康に結びつきます。

大切なのは正しい知識を持つことです。スーパーマーケットに行った時に、巨大食品メーカーがあなたに何を買わせようとしているのか。いまの私なら、スーパーに並んでいる加工食品のパッケージを見て、食品メーカーがどう消費者にアピールしたいのかが分かります。読者にはそうしたことを分かってほしい。知識こそが力なのです。

必要なのは習慣を変えることです。ほんの少しだけ。自分で作れる食べ物はたくさんあります。パスタソースなんかはそんなに難しくはありません。スーパーにある食品は便利ですが、便利以上の何ものでもないのです。

わずか20分間もお菓子を我慢できない子供たち

―しかし、現実は食品メーカーの思惑通りになっている、と。

モス:以前、家族で人形劇を見に行った時のことです。約20分間くらいのショーだったでしょうか。その半ばくらいで、観客席にいた子供たちはお菓子をせがみ始め、親はすぐにその要求に応えました。子供たちはわずか20分間の我慢もできなかったのです。

―いつからそうなったのでしょう。

モス:1980年代に米国では、ものを食べる場所や時間などが社会的に大きく変わり始めました。歩きながら飲食したり、職場の会議でも何かを飲んだり食べたりするようになったのです。それによって食品メーカーが新たな役割を見つけることになりました。

時折食べるものだったスナック類が突然、食生活の中に割り込んできたのです。いまでは米国で摂取されるカロリーのうち、約4分の1がスナック類からです。親も子供たちに「食事の間にスナックを食べるのはやめなさい」と言わなくなりました。

―本書の中で、加工食品の魅力を表現する際、「Addictive(中毒性の、といった意味)」「Narcotic(麻薬の、といった意味)」という言葉を使っています。ドラッグのようなものなのでしょうか。

モス: 「Addictive」ほど食品業界が嫌う言葉はありません。薬物中毒と過食は違うと主張します。しかし、アルコールやたばこ、薬物の中毒を見続けてきた専門家は、糖分や脂肪分が豊富なものは、そうした中毒物質と同じような強制摂取を引き起こす可能性があると主張しています。それは麻薬のようなものです。食べる量を適当にコントロールしようとするのはなかなか難しいものです。

絶妙な配合で脳に快楽を感じさせる

―セルフコントロールが必要ですが、それは難しいわけですね。

モス:その通り。長い間、体重があり過ぎる人に対して「(過食しないよう)もっと強い意志を持ちなさい」と言ってきました。ですが、それは間違った考え方なのです。こうした加工食品やそれを売り込もうというマーケティングはあまりにもパワフルなのです。

優秀な研究者を抱えている食品メーカーは、甘すぎず、塩辛すぎず、我々が「ワオ」と感嘆の声を上げて、さらに欲しがる完璧な配合を見つけています。塩、砂糖、脂肪の絶妙な配合は、人々の脳に作用し、快楽を感じさせ、もっと食べようと思わせるのです。多くの人は圧倒されるのです。

ヨーグルトにはアイスクリームと同じ量の砂糖を含むものがあり、パスタソースにもオレオクッキーと同じくらい砂糖を含むものもありますが、ご存じでしょうか。我々は口にするすべてのものに甘さを期待しているのです。特に子供はそうです。

―マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長は、肥満対策として、飲食店や娯楽施設で大型サイズの炭酸飲料が販売できないような規制を導入しようとしました(2014年6月に同州最高裁で市側が敗訴し導入されてはいない)。政府による何らかの規制は必要なのでしょうか。

モス:記者として、私はどちらの立場もとりません。ですが、もしブルームバーグ氏のような人がいなければ、そうした議論にならないということです。飲料メーカーは多額の資金を投じて子供たちを炭酸飲料の虜にしています。

―米国政府は正しい政策を採ってきたと言えるでしょうか。

モス:あまりほめられたものではありませんね。例えば農務省には2つの使命があります。消費者に食べ物についての適切なアドバイスすること。しかし、そこに割り当てられる予算はごく限られたものです。そしてもう1つの使命は、食品産業がもっと製品を売れるように支援すること。予算はこちらのほうに圧倒的に多くつけられています。「ピザの食べ過ぎに注意しましょう。チーズは半分に」などと言いながら、酪農産業とともに消費拡大のキャンペーンをしてきたのです。

自責の念に駆られる食品メーカー元幹部も

―食品メーカーの経営陣にとっては、ウォール街(投資家)からの圧力もありますね。

モス:投資家をわくわくさせたIT企業でも「最近、目新しいものを出したのか」と言われるような環境ですから、食品会社のCEO(最高経営責任者)たちは株価のことを考えざるを得ません。年1回や四半期に1回どころか、毎週、毎日のように考えているのが実態です。

しかし、加工食品産業を、意図的に過食や疾病をもたらす悪の帝国だとは思いません。より良い食べ物を販売して稼げる道を見つけられるかどうか。そうすれば皆がハッピーになり政府による規制などは必要ありません。そのためには、消費者が自分の購買行動を自覚することも重要になります。

―米国の肥満が深刻になっていることを訴え、業界経営者に行動を呼びかけた食品大手の幹部。コカ・コーラで出世街道をばく進したものの、大量の糖分を含む炭酸飲料を売りまくったことに疑問を覚えた北南米部門の元社長。高塩分食を問題視する社会の動きに対して、会社の利益と消費者の利益との間で悩み続けたフリトレーの研究開発部門トップ。こうした人も本書には出てきます。

モス:共感を感じる部分はあります。朝から競合に勝つことだけを考えている時は、大きな視点でものを見ることができないのです。コカ・コーラの北南米部門の元社長は「子供たちを肥満にしている」と思いながら目覚めることはありませんでした。「(ライバルの)ペプシコを倒すんだ」と言って毎朝起き上がっていたのです。彼は、会社を辞めてはじめて、自分のやってきたことを考え始めることができたのです。

―罪の意識を感じているのでしょうか。

モス:はい。自責の念に駆られていると思います。もっと違ったことができたのではないか、と。

食品会社を退職した人の中には、もっと健康的な製品を作りたいと行動を起こした人もいます。何かの償いをしたいのでしょう。さっき話したコカ・コーラの元幹部は、ベビーキャロットを栽培する農園で働き始めました。「僕の宿命だよ」。そう彼は言っていました。

―ほかにも食品メーカーの関係者が多数、登場します。

モス:私はとても幸運に恵まれました。内部文書の山に遭遇したのです。巨大食品メーカーの内部をうかがい知ることができるメモ、電子メール、研究書類、戦略方針説明書などです。そうした文書があったからこそ、食品メーカーの中で誰が何をしたか、誰に話を聞くべきか、キーパーソンを特定することができたのです。そうしたメモ、文書をもとに、インタビューに応じるよう説得しました。「あなたがこれこれをしたというメモがあります。ぜひほかの話も聞かせてください」と。そしてさらに深い資料に当たることができました。

内部文書を見つけたのは全くの偶然でした。クラフト、ゼネラルフーズ、ナビスコという大手食品メーカーを買収していたフィリップモリスなど、健康問題で訴えられたたばこメーカーが内部文書を公開したのです。そこに巨大食品メーカーに関する文書があるとは気がつきませんでした。

中東では肥満が大きな問題に

―米国以外でも同じ問題が起きていて、今後、もっと広まりますね。

モス:米国流の食生活は世界中に広がっています。肥満や糖尿病などのリスクも広がっていることを意味します。昨年の夏、ウィーンで講演しました。健康関連の閣僚が集まる会議です。米国流の食生活が引き起こしたであろう健康問題が予算を直撃し、不愉快な顔をした大臣が集まっていました。

サウジアラビアからも呼ばれました。中東では肥満が大きな問題になっているからです。カナダにはすでに5回も講演に行き、アムステルダムでは1日半で12回もインタビューを受けました。それほど食べ物を心配しているのです。

日本やフランス、イタリアなど、独自の食文化を持つ国でも、多くの人がファストフード店で食事をし、ジャンクフードをスーパーで買うようになっています。そしてその問題にどう対処すべきか、どの国も悩んでいます。米国のように加工食品が押し寄せるのを恐れているのだと思います。

―最後にご自身の食生活を教えてください。

モス:ポテトチップスが大好きです(笑)。我が家のキャビネットを開けたらポテトチップスがありますよ。でも同時にたくさんの野菜もあります。そしてたいていは自分の家で料理をします。

塩、砂糖、脂肪を減らすのではなく、もっと多くの野菜を食べるようにしていますね。息子たちにも「砂糖や炭酸飲料を取るな」とは言いません。「できるだけ少なくなるようにがんばろう」と話しています。唯一の厳しいルールはテレビを見ながらスナック類を食べることはしない、ということです。

フードトラップのプロローグ「金の卵」は、以下で締め括られています。

加工食品メーカーの言い分はこうだ。われわれは人々の望みをかなえてきた。手間を省き、ガスレンジから解放されたいという望みをかなえてきたのだ、と。だが、この社会的変化を推し進めるために彼らが利用してきた塩・砂糖・脂肪は、彼らの手中においては栄養素より兵器に近い。競争相手を負かすためではなく、消費者にもっと買わせるためにも利用される兵器である。

以下は、日経ビジネスオンラインの書評です。

大手食品会社は、一流の科学者を大量に動員して、塩分、糖分、脂肪分の安くて強力な成分の組み合わせで、人が快感を覚える「至福ポイント」を刺激する食品を生みだしてきた──。世界的な食品企業が売り上げを伸ばすために行っている驚くべき製品開発やマーケティングの実態と、株価対策などで健康的な製品を出したくても出せないジレンマを、ピュリッツアー賞受賞記者が当事者への徹底的な取材と内部資料により解き明かした本格ルポルタージュ。

丸元淑生著「生命の鎖」を彷彿させる内容です、是非、お読みください。
それにしても、米国でもきちんとした食事をとる習慣が崩壊しているとは!


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