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ペペロンチーノに太白(たいはく)胡麻油!

6月14日のHONZに、「ペペロンチーノを科学する世紀の奇書『男のパスタ道』は「いきの構造」にならぶ(かもしれない)名著である」と大書され、「こんどはペペロンチーノで本を一冊である。さすがにこんどは、ペペロンチーノのレシピを27も紹介する、という愚を犯しはしていない。美味しいペペロンチーノを作りたいという一心で、すぐれて科学的な実験を繰り返すという探究心あふれた本だ。正直に言おう…more」という見出しに魅せられて、仲野 徹さんの書評を読み、土屋 敦さんの「男のパスタ道」を読みました。

そして、「第5章 オリーブオイルは使うな」は衝撃的な内容でした。
土屋さんのレシピでおいしいペペロンチーノを、ぜひお召し上がり下さい。

▼土屋 敦著「男のパスタ道」・・・書評:仲野 徹
HONZ 今週はこれを読め! vol.84 2014年6月14日より転載

料理研究家・土屋敦が編み出すレシピは、どれもとてもシンプルで美味しい。だから、ひょっとしたら横着な男なのではないかと思っていた。実物を見ても、なんとなくそういう印象がしないでもない。しかし現実は真逆、オタク的執着心の権化だ。

そうでなければ、豚の角煮のレシピだけを27も集めた本『なんたって豚の角煮』など出版するはずがない。世界中のどこに、豚の角煮でそんなにたくさんのレシピを必要とする人間がいるのというのだ。

というのが常識的な判断だろう。しかし、世の中は広い。アマゾンをチェックすると、四つもレビューが載っていて、いずれも五つ星。わけわからん。が、ふと、土屋敦は四人家族であることを思い出してしまったりした。

こんどはペペロンチーノで本を一冊である。さすがに、ペペロンチーノのレシピを27も紹介する、という愚を犯してはいない。美味しいペペロンチーノを作りたいという一心で、すぐれて科学的な実験を繰り返すという探究心あふれた本だ。正直に言おう、文系の土屋がここまでがんばったことに素直に感動した。

七章立て240ページからなる本であるが、その三分の二は、パスタのゆで方に費やされている。そこだけでなんと8万字。その解析はきわめてサイエンティフィックだ。いきなりパスタにとりかかったりはしない。第一章では、パスタの原材料であるデュラム・セモリナからデンプンとタンパク質を抽出し、それぞれの性質を調べていく。パスタ本と思って読み出すと、ここでイヤになるかもしれない。しかし、スポーツでも研究でも、こういった基礎的なトレーニングが大事なのである。

デンプンの主成分であるアミロペクチンが乾燥パスタの糊化(水をすってふくらむ現象)にうんぬんかんぬん。タンパク質の主成分の一つであるグルテニンの構造が歯ごたえにどうたらこうたら。このあたりをぼんやりとでも理解しておかないと、第二章以降に繰り広げられる、パスタのゆで方をめぐる実験成果の解釈がおもしろくない。

第二章では、塩をどれくらいいれるかを見極めていく。いろいろな塩分濃度で実験を繰り返し、最適な量を決定する。それだけにとどまらない。従来はパスタをゆでるときに塩をいれるのは沸点をあげるためだと考えられていた。しかし、土屋は、第一章での実験結果もふまえて、そうではないと断言する。常識の打破、科学の醍醐味はここにある。

そして、どんなパスタがいいか、どれくらいの水を使えばいいか、どのようなゆで方をすればいいか、などと考察がすすめられていく。ここでも土屋は重要な発見をする。食べやすいパスタの長さは17センチであると。しかし、売られているほとんどのパスタは25センチだ。どうせえっちゅうねん!

しかし、ひょっとして、この本が爆発的に売れて、日本人のパスタリテラシーが書き換えられたりしたら、どこぞのメーカーが『食べやすさ最高!土屋敦が絶賛する世界初の17センチパスタ』とかが売り出される日がくるかもしれない。こないと思うけど。

この本の真骨頂は、ゆで方が一段落ついた第五章『オリーブオイルは使うな』にある。科学的研究には、水平に展開するような研究と、垂直に突破するような研究がある。もちろん前者よりも後者の方が高い評価を得る。

第四章までのパスタのゆで方は、重要な内容を含んでいるとはいうものの、塩の量をどうするか、ゆでる温度をどうするか、パスタの長さをどうするか、など、量的な最適化にすぎない。しかし、第五章は違う。オリーブオイルではなく、ある油を使うとペペロンチーノの味にすばらしい変化がおきるというのだ。

これは、ペペロンチーノ界(そんなもんあるんか…)に驚天動地の騒動をひきおこすかもしれない大発見だ。おそらく、これを知った世界中のペペロンチーノ者たちは、密かにレシピを変えるに違いない。なんの油か?それは本を読んでもらいたい。

大発見であるにもかかわらず、奥ゆかしい土屋は自慢したりしない。しかし、巻末に紹介する四つのレシピどれにも、その油がとりいれられていることから、自信の程がうかがえる。その是非は後世の判断にゆだねたい、ということなのだろう。

私にはわかる。このひらめきは、科学の女神が、ゆで方を最適化するというばかばかしいほど地道な研究に汗を流して励む土屋を見て、不憫に思い、かわいそうにと微笑んだからこそもたらされたものであるということが。

その四つのレシピ。まずは、『勝負ペペロン』。誰と何をどう勝負したいのかしらんが、最強のレシピがそう名付けられている。そこには、長年にわたる研究の成果が詰め込まれているだけあって、じゃまくさすぎる。さすがの土屋もその程度の判断力はあるようで、ちょっと手を抜いた『休日ペペロン』さらにお手軽な『時短ペペロン』、そして少し風味のちがう『生パスタ風ペペロン』の四つが紹介されている。

驚くべきは、これだけの実験をこなしたにも関わらず、レシピをたった四つにまとめ上げていることだ。土屋敦、豚の角煮で27ものレシピを書いたのに比べると、すばらしく大人になっている。この成長を心から賞したい。

おそらく、書店では、料理本か趣味本の棚に置かれることになるだろう。しかし、ここに書いたように、もっとふさわしいのは科学書の棚だ。が、世の中には、京都にある恵文社のように、「えっ、この本の隣にこの本とくるかぁ」系書店というのがある。もし私がそのような書店の店長なら、九鬼周造の『いきの構造』の隣においてみたい。

この本を読み進みながら、その名著を思い出していた。いきの構造を読んだ時、なんでこの人は『いき』というものを、ここまで執着心をもって微に入り細を穿ち考察するのだろう、という印象を強く持った。叱られるのを承知でいうと、哲学的考察というものをパロディー化しているのではないかとすら思ったほどである。

その姿勢、土屋のペペロンチーノに対する姿勢と重なるではないか。もちろん、いきとパスタ、哲学的考察と実験的考察、誰もが認める哲学者と自称「書斎派パスタ求道者」という大きな違いはある。しかし、両者には絶対矛盾的な同一感がある。土屋は、この本の大成功により、すくなくともペペロン界においては、九鬼周造と並び称されるようになるはずだ。

仲野 徹 1957年、「主婦の店ダイエー」と同じ年に同じ町(大阪市旭区千林)に生まれる。大阪大学医学部卒業後、内科医から研究の道へ。京都大学医学部講師などを経て、大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学。<http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/nakano/> ノンフィクション、とりわけ伝記が好き。それが昂じて専門誌に「なかのとおるの生命科学者の伝記を読む」を連載。単行本(学研メディカル秀潤社)として上梓したところ、成毛代表の目にとまりHONZに参加。書籍購入費の抑制、および、仕事と飲酒と読書のバランスとれた鼎立、が永遠の課題。
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以下は、「第5章オリーブオイルは使うな」より抜粋転載です。

エクストラ・ヴァージンの使い道

さて、ここで私の野菜炒めの作り方を紹介する。

水をたっぷり含んだ葉野菜を切ってザルに入れ、その上にスライスしたニンニク、唐辛子、塩をのせておく。中華鍋に太白ゴマ油を入れて強火にかける。煙が出るまで加熱したら、そこにザルをひっくり返すようにして野菜を投入し、一気に炒める。野菜がしんなりしたら日本酒を加える。アルコール分が飛ぶのを待って、少しの湯を加えて水分をたっぷり含ませて仕上げる(水では温度が下がるため、お湯を使うのだ)。場合によっては、最後の香りづけに焙煎したゴマ油を加えて完成である。

この中華風の野菜炒めレシピを、ペペロンチーノ向けに換骨奪胎(かんこつだったい)してみる。

(1)中華鍋に太白ゴマ油を入れて強火にかける。

(2)煙が出てきたら、ゆであがったパスタの上にスライスしたニンニクと唐辛子をのせたものを、ひっくり返すようにして投入する。

(3)ざっと混ぜたら、少しゆで汁(またはお湯)を加え、フライパンをあおるようにして混ぜ合わせ、火を止める。

(4)香りづけにエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルをからめる。

若干の難点はあった。中華鍋にパスタが貼りつきやすいことと、熱い油に接した一部のパスタが揚げたような感じになることだ。ただ、これは鍋を鉄製じゃないものに変えたり、油量や火力を調節することで解決できるだろう。

食べてみると、アツアツで、とてもおいしい。あっという間にできるのも気に入った。太白ゴマ油にも香ばしさはあるが、おだやかなので、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルならではの香りを殺さない。試しに加熱した太白ゴマ油と生のエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルをブレンドしたものを飲んで味見もしたが、うまく両者の香りが混ざっておいしかった。

念のため焙煎された普通のゴマ油でも作ってみたが、こちらはゴマ油の香りが強すぎて、オリーブオイルの香りを消してしまった。

太白ゴマ油を超えるものがない

結論として言えるのは、最後の風味づけにエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを加えるのであれば、オリーブオイルでなくてもペペロンチーノは作れるということである。

当初の目論見は、「エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルか、ピュア・オリーブオイルか」という二択に、最終的な結論を出すことだった。そこから「サラダ油と変わらないじゃん」というネガティブな理由で、ピュア・オリーブオイルが脱落した。かといって、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルに軍配を上げるわけにもいかない。

そんな状況で最終的に見えてきたのは、加熱してもおいしく、なおかつエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルの香りを殺さない油なら、どれでも選択肢になりうるということ、きわめてポジティブな結論になったと言えるだろう。

その後、ピーナッツ油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、マカダミアナッツ油などでも試してみた。ただ、油にベタつき感がなく、最後に加えるエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルの香りをじゃましないという点では、いまのところ太白ゴマ油を超えるものはない。

以下、略----------
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以下は、「男のパスタ道」からの引用です。

オリーブオイルの芳香成分は揮発性が高いため、加熱すれば失われる。その一方、酸化だけはすすむから、不快な味や臭気、ベタつきが発生する。苦味・辛味成分は加熱によっても失われることがないので、前と変わらず、トータルで見ると、加熱したときのほうがまずい、という展開になる。

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なぜ、ごま油は酸化しにくいのでしょうか。

ごまにはリグナンが約1%含まれています。リグナンには、主にセサミン、セサモリン、セサモール、セサミノールという4つの種類があります。ごま油を搾った段階では、リグナンは「セサミン」と「セサモリン」として油中に溶け出していますが、太白胡麻油の精製工程で、セサモリンが化学変化して新たな抗酸化成分「セサミノール」が生まれるのです。

このセサミノールは熱にも強く、油の劣化を防ぐ効果を発揮します。さらに、ごまに豊富に含まれるビタミンE(トコフェロール)は、別名抗酸化ビタミンとも呼ばれます。ごま油の抗酸化力は、リグナン+ビタミンEの相乗効果の賜物なのです。

ごま油中の特有成分の含有量(mg/100g) (出典:朝倉書店「ゴマの科学)

セサミン
セサモリン
セサモール
セサミノール
トコフェロール
生搾りごま油
200〜400
0
0
80〜100
20〜40

焙煎ごま油

400〜800
200〜400
5〜10
0
30〜50

▼新規取扱:マルホン太白胡麻油
<内容量:450g><価格:864円>
<http://www.chiffonya.com/shop/sesameoil.htm>
▼「太白胡麻油」でつくると「炒め物」はおいしい!
<http://www.gomaabura.jp/gomashiki/book/109/109.pdf>

土屋さんは「加熱油のテイスティング」を気分が悪くなってまで実体験されて、ペペロンチーノあるいは炒め物や揚げ物を食べるとき、こんなにまずい油を摂っていたのかと気付かれます。そして、加熱した太白ゴマ油と生のエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルをブレンドしたものを飲んで味見され、「うまく両者の香りが混ざっておいしかった」と言われています。

抗酸化物質リグナンの効果のほどを生々しく知りました。

私どもも今まで、「サラダに亜麻仁油、調理用にオリーブ油」と申し上げてきましたが、これを機会に「サラダに亜麻仁油、えごまドレッシング、そしてオリーブ油、加熱用にはごま油」と改めます。

でも、ごま油はオメガ6脂肪酸を高率に含んでいますので、オメガ3脂肪酸とのバランスでお摂りになることをおススメします。

こちらも併せて、ご一読ください。

▼「うまっ!次世代パスタ」
NHKためしてガッテン 2013年10月09日放送
<http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20131009.html>
▼トウガラシの辛味を活かし、夏バテを克服しよう
<http://allabout.co.jp/gm/gc/445013/?NLV=AL000002-1785>


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