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地球規模で「食」の問題を考えてみませんか?

2050年までに、世界の人口は90億人に達する。地球環境に負担を掛けずに、食料供給を増やす方法はあるのか。ナショナルジオグラフィック誌が8ヶ月にわたって掲載するシリーズ「90億人の食」の第1回「世界の食の未来」を転載しました。地球規模で「食」の問題を考えてみませんか?

ナショナルジオグラフィック誌は米国で1888年に創刊した、自然、科学、文化を豊富な写真とともに伝える月刊誌。毎月850万部を発行しています。

大規模農業か、小規模な有機農業か?いや、二者択一でない第3の道がある
5つの提言から考える世界の食の未来:環境科学者ジョナサン・フォーリー
ナショナルジオグラフィック2014年5月号より転載

農業は地球温暖化を促す最大の要因の一つで、その温室効果ガス排出量は、自動車とトラック、鉄道、航空機から排出される総量を上回る。主に家畜と水田から排出されるメタン、耕作地に施した肥料から出る一酸化二窒素、農地開発のために森林を伐採したことで増える二酸化炭素が、その内訳だ。

農業は貴重な水を大量に使うばかりか、肥料や家畜の排泄物の流出によって湖沼や河川、沿岸部の脆弱な生態系を破壊する。農地が拡大すれば、動植物の生息地が失われる。農業は野生生物を絶滅に追い込む一大要因にもなっているのだ。

このように、農業が環境に及ぼしている影響は極めて大きい。今後、世界的な需要の拡大に伴って食料の増産が求められれば、その影響はさらに大きくなるだろう。今世紀半ばに世界の人口は今より20億人増え、90億人余りを支える食料が必要になると予想される。また、中国やインドをはじめ新興国の人々の生活が豊かになり、肉、卵、乳製品の需要が伸びれば、家畜の飼料となるトウモロコシと大豆の増産も必要だ。この傾向が続くと、人口の増加と食生活の変化という二つの要因が重なり、2050年までに世界の作物の生産量を現在のおよそ2倍に増やす必要があると考えられる。

世界の食料問題にどう対処すべきかについては、議論が真っ二つに分かれている。一方は、化学肥料や農薬を使って大量生産した作物を世界規模で流通させる、大規模農業を支持する陣営。もう一方は、地産地消と有機農業に未来があるとする陣営だ。

大規模農業の支持者は、機械化や灌漑施設の整備、化学肥料の使用や遺伝子組み換え技術の導入で増産を達成できると主張する。この考えは正しい。一方、地産地消と有機農業の支持者は、化学肥料や農薬に頼らずに土壌を改良する技術を使えば、貧しい国々の小さな農家は収穫量を大幅に増やし、貧困から抜け出せると主張する。この意見も正しい。

実際、どちらか一つを選ぶ必要はない。両方の利点を生かした解決策を探るべきだろう。私の研究チームは、環境への負荷を減らしつつ食料供給を倍増させる方策を求めて、農業と環境に関する膨大なデータを解析した。ここでは、世界の食料問題を解決するために、5つの提言を示したい。

提言1 農地を拡大しない

農耕が始まって以来、人類は食料を増産する必要に迫られると、森林を切り開き、原野を耕して農地を拡大してきた。すでに世界の陸地のうち、南米大陸とほぼ同じ面積が耕作地になっている。牧草地はさらに広大で、その総面積はアフリカ大陸にほぼ匹敵する。こうした開発により、北米の大草原地帯やブラジル大西洋岸の森林など、世界各地の豊かな生態系が失われてきた。熱帯雨林は依然として急速なペースで伐採され続け、森林の消失が深刻な問題になっている。

たとえ食料増産のためでも、これ以上農地を拡大するわけにはいかない。熱帯雨林の開墾は環境破壊の最たるものだ。しかも大半は、牧畜、飼料用大豆の栽培、木材やパーム油の生産が目的であり、世界で飢餓に苦しむ8億5000万人に食料を届けられるわけではない。

提言2 今ある農地の生産性を高める

1960年代に始まった「緑の革命」は、品種改良、化学肥料の使用、灌漑施設の整備、機械化により、アジアと中南米諸国で作物の増産を成し遂げたが、環境に大きな負担をかけている。今後は、アフリカ、中南米、東欧など、農業生産性の低い地域の収穫量を増やすことに注力すべきだろう。これらの地域には、最新技術を使って肥料や水やりの量をきめ細かく管理する「精密農法」や有機農業を実践することで、今の何倍もの増産を達成できる余力がある。

提言3 資源をもっと有効に使う

今、大規模農場で資源の浪費をなくす取り組みが進んでいる。トラクターにGPSやセンサーを搭載し、コンピューターで管理することで、施肥や農薬散布をより効率的にできるようになった。多くの農場で土壌の条件に合った肥料が使われ、化学物質の流出も減っている。

ご参考まで→→→5月25日読売新聞「経済地球便」米IT農業 育ち盛り
<http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#/news_20140525-118-OYTPT50058/scrap_list_FD00000000>

有機農業を実践することでも、水と化学物質の使用量を大幅に減らせる。収穫後の畑にマメ科の植物を植える、畑の表面を覆う資材「マルチ」を使う、堆肥を施すといった方法は、土壌の改良や節水に役立つ。また、地中に埋めた管から少しづつ水を与えるなど、より効率的な灌漑方式の導入も進んだ。大規模農業と有機農業のいずれでも、新たな技術を採用することで、資源の無駄遣いを減らしながら、作物をより多く収穫できるようになる。

提言4 食生活を見直す

現在、世界で生産される作物のうち食用作物の割合は、カロリー換算で55%にすぎない。残りは家畜の飼料(約36%)か、バイオ燃料や工業製品の原料(約9%)となる。

穀物飼料で育った家畜の肉や卵、乳製品のカロリーは、飼料として与えられた穀物そのもののカロリーに比べればごくわずかだ。家畜に与える穀物のカロリーを100とすると、人間が牛乳から得られるカロリーは40、卵なら22、鶏肉なら12、豚肉なら10、牛肉では3しかない。

畜産の効率化を図りつつ、肉の消費を抑えることで、世界の人々に行きわたる食料が大幅に増える。穀物飼料で育った牛の肉ではなく、鶏肉や豚肉、あるいは牧草で育った牛の肉を食べるようにするだけでも効果がある。開発途上国の肉の消費量は今後増えていくだろうから、すでに肉を大量に消費している国々がまず食生活を変えるべきだろう。バイオ燃料の生産に使う作物の量を減らすことも、食料供給の改善に大いに役立つ。

提言5 食品廃棄物を減らす

世界では、カロリー換算で食料の推定25%、重量では最大50%が食べられずに廃棄されている。豊かな国々では、食品廃棄物の大半は家庭やレストランでの食べ残しと、スーパーマーケットでの売れ残りだ。貧しい国々では、農家からの流通ルートで貯蔵施設や輸送の不備のために市場まで届かない食料が多い。先進国の消費者は、食べ残しが出ないようにする、飲食店や食料品店に無駄をなくすよう働きかけるなど、簡単な改善策で廃棄物を減らせる。

食料供給を増やすさまざまな方法のなかでも、食品廃棄物の削減は最も効果の大きい選択肢の一つとなるだろう。

以上5つの提言を実行に移すことで、世界の食料供給を2倍以上に増やせるばかりか、農業が地球環境に及ぼす影響を大幅に抑えられる。ただし、そのためには発想の転換が必要だ。有史以来のほとんどの時代において、人類は農地を拡大し、作付けを増やし、資源を多く投入すること以外に食料増産の道はないと思い込んできた。だが、これからは未来の世代のために、食料の増産と環境保全を両立させる道を探らなければならない。

人類は今、大きな岐路に立っている。食料の安定供給を確保しつつ環境を守るという、未曽有の難題を解決しなければならない。幸い、やるべきことはわかっている。あとは、どう実行するかを考えればいいだけだ。

世界の食料問題を解決するには、私たちそれぞれが食べ物についてよく考える必要がある。食卓にのぼる農産物は、その栽培に適した気候のもとで、土や水の恵みを受け、農家に育てられること。そして、食べ物は私たちの命を支えてくれること。スーパーマーケットで買い物をするときに、そうしたつながりを考えてみてほしい。一人ひとりが賢い選択をすれば、食の未来をより良く変えられるのだから。

▼こちらも併せて、ご一読ください。
ナショナル ジオグラフィック日本版 フード・トピックス
家族農家が温暖化時代の農業のカギを握る
<http://nationalgeographic.jp/nng/article/20140424/394589/>
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「5つの提言」の巻頭は、大きなフォントで「環境破壊の元凶は何かと言われて、食べ物を思い浮かべることは少ない。だが実際には、増大する食料需要も地球環境に大きな脅威となっている」で、書き出されています。

丸元淑生さんの名著「生命の鎖」は22年前の1992年に発行されました。
以下は、その第3章「自分を守る食事が地球を守る」から抜粋転載です。
(講談社α文庫の表題「何を食べるべきか 栄養学は警告する」)

しかし、もしここであなたが、食物連鎖の下位のものを食べて食事の主体を構成しようと考えたらどうだろう。具体的にいえば、穀類と豆類を中心に、野菜、果物、小魚、乳製品を食べ、たまに肉を食べるという食事である。

そうすれば、環境汚染物質から自分を守ることになるのは確かである。“三種燃料”の脂肪の比率も下がって、からだに合ったものになる。ビタミン、ミネラル、食物繊維はいままでよりも多くとれることになって、さまざまな疾病のリスクが減る。つまり、自分にとってよいことだらけだが、それは地球にとってもよいことなのだ。

かりにそういう人ばかりになったとしたら、穀類で家畜を飼育するシステムは終焉するだろう。牛はまた四つの胃を使って正常な生命活動をとり戻せるのだ。コスタリカやホンジュラスなどの中米の国々では、熱帯雨林の広大な面積を、木を切り倒して焼き払いながら牛の放牧地に変えていっているのだが、そういう破壊はなくなるだろう。わが国の遠洋漁業による大型魚の漁獲も減り、いわしを餌にしたはまちの養殖もなくなるだろう。農業の過当競争が止んで、環境と資源が守られる。

これを逆にいえば、肉中心の食事をしている人が、環境問題を云々するのはおかしいということになる。われわれが何を食べるかで、世界の環境が変わるのだ。
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ジョナサン・フォーリーさんの提言を、すべての国が同調するでしょうか。

日本の耕作面積は、約465万haありますが、休耕田や耕作放棄地はそのうちの3割、145万haに及びます。農業政策の立案者たちは、この広大な土地を食料自給率向上のために有効活用することを考えるどころか、これを放置しています。いや、むしろ食糧管理制度を通じて促進してきました。代表的なのが、減反政策です。

日本ですらこうなのですから、推して知るべしです。
食料自給率100%にするために、この提言を生かしたらいかがでしょうか。
わが国ならできるでしょう。将来の安心・安全のためにやるべきです。


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