トップページ知って得する講座家めしこそ、最高のごちそうである

家めしこそ、最高のごちそうである

ジャーナリスト佐々木俊尚著「家めしこそ、最高のごちそうである」から、第3章「食材をまず決め、7種類の味から、違うものを選ぶ。最後に調理法」の冒頭部分を転載しました。そして、第5章「ひと手間で美味しさアップ。我が家で人気のレシピのコツ」から「スーパーで売っている『焼きそばセット』を美味しく食べるすごい秘訣」をご紹介しました。お試し下さい。

▼まず最初に、食材から考えること

「今夜の晩ごはんはどうしよう? なにつくるかな?」

夕方になってそう考えたとき、なにをまず最初に頭に浮かべますか?

たぶんけっこう多くの人が、「今日はハンバーグ!」「カレーかな」「夜はパスタにするか」と料理名を最初に頭に浮かべているのではないでしょうか。

でもこれ、あまり良くない方法なんですよね。どうしてかといえば、頭で思いつく料理名のバリエーションなんてそんなに多くないから。

よくある夫婦の会話に、

「今日の晩ごはんはなに食べたい?」
「うーん……カレー?」
「またカレー?ほかに思いつく料理ないわけ?」

なんてのがありますが、いきなり「思いつく料理を考えよ」と迫られても、よほど料理好きでもない限り、なかなか斬新な料理なんて思いつくものじゃありません。「なに食べたい?」と聞かれて、「うん、今夜はベーコンがごろりと入った、アンチョビ風味のトマトソースのパスタとかいいな」「じゃあ今日は豚ロースを塩麹で漬けておいたのを焼いてほしいな。それにトウモロコシご飯で」なんて答えられる人は、かなりの食通でしょうし、そんな人だったらそういうややこしい料理をつくってもらうことを伴侶に求めたりしませんよね。

おまけに料理を先に決めてしまうと、融通が利きません。買い物に行くときに、必要な食材を調べてメモっておかないといけないし、うっかり買い忘れてきたりすると計画があっという間に破綻しちゃいます。

そこで「日常の食事をもっと美味しく、かんたんに」というスタイルを進めたい本書としては、そういうやり方ではない献立の組み立て方を提案しようと思います。

いくつかのステップがあります。

(1)まず最初に、食材から考えるということ。
(2)次に、味つけを選ぶこと。
(3)最後に、調理法を決めること。

まず最初の、食材から考えるということ。それは「今日はカレーにしよう」じゃなく、「今日は大根を食べよう」からスタートしようということです。

わたしは仕事中、原稿を書いたり取材のため電車で移動したりしながら、いつもこんなふうに考えています。

「今日の晩めし、なにつくるかなあ。冷蔵庫にはなにがあったっけ。たしか小松菜と長芋、それから知り合いにもらった柿がまだ残ってた。小松菜は油揚げと煮浸しにするかな。長芋は片栗粉ふってソテーするか。柿はだいぶ熟しちゃってるけど、とろとろのにマスカルポーネチーズのっけると美味しいんだよな。よし、帰りにスーパー寄って油揚げとマスカルポーネ買って帰ろう。近所の安いスーパーだとチーズの品ぞろえ良くないから、恵比寿の三越デパートの地下食品売り場に寄ってくかな」

基本の献立はまず冷蔵庫にすでにある食材で決めて、足りないものはその日に買い足す。そうやって献立を考えていこうよ、ということなんですよ。

料理本などを読むと、「一週間分の献立を決めておこう」なんて書いてあったりします。専業主婦で毎日かならず食事を決まった時間につくれるのならできるでしょうけど、働いている人間にはこれはちょっと無理。だってそうじゃないですか。そもそも毎日晩ごはんの時間に帰ってこられるかどうか、直前にならないと分からないことも多い。かりにちゃんと帰ってこられたとしても、「今日の晩ごはんの予定は何にしたんだっけ?……ジャガイモのコロッケか! 絶対無理だよ。今日クタクタだよ〜」ということになりかねません。

献立の計画を細かく立てすぎるのではなくて、もっとゆるく「きょうはこんな食材があるのか。じゃあこれつくるか」ぐらいがちょうどいいと思います。「料理→食材」じゃなくて、「食材→料理」。この順番がいいのです。

そして食材を前提にするといううえでもうひとつ大切なのは、野菜を基準にするということ。

働いている人が、毎日買い物するのはたいへんですよね。でも野菜なら、毎日買う必要はありません。最近の冷蔵庫は性能がいいし、適温が保たれた野菜室に入れておけば、一週間ぐらいはかるく大丈夫です。その日につくる料理も、冷蔵庫に入っている野菜を中心に決めれば、あらかじめ考えやすい。

肉食をやめよう、菜食にしようと言ってるわけではないですよ。わたしもベジタリアンではありません。

そうではなく、そもそもわたしたちの食事には、肉が多すぎるのでは、ということなんです。

子供のいるご家庭は肉もりもり料理もいいかもしれませんが、40代で共働きの夫婦とか、30代の単身家庭とかで考えてみてください。

50代のフリーランス夫婦のわたしの家でもそうですが、会食はけっこう多いんですよね。会社に勤めていらっしゃる方だったら、取引先の人とか社内の同僚とかと飲みに行くことが多いでしょう。フリーランスも同じようなものです。いまの時代はいろんなところでいろんな人とつながっておき、さまざまな人間関係をつくって安心を高めていこうというような考え方になってきてますから、外でいろんな人と会う。「じゃあごはんでも食べようよ」「今度飲みに行こうよ」というので、居酒屋とかちょっとしたビストロ、トラットリアとかでグラスを傾けながら……という機会がとても多いのです。

日本の外食はとてもレベルが高いと思います。でもそうはいっても、カロリー過多になってしまうのは間違いありません。フレンチやイタリアンに行くとついついメインの美味しそうな肉料理にも手を出してしまったりしますしね。

だから自宅で食事をするときぐらいは、思いきってローカロリーで健康的な野菜中心の料理がいいとわたしは思うんですよ。家庭料理でからだを整えて、健康を取り戻して、そしてまた外で仲間や同僚や、自分の好きな人たちとの旨い食事をおもいきり楽しむ。そういうサイクルをうまくまわして、体重が増えちゃったり体調崩したりしないようにコントロールしていくのが大切なのです。

だから自宅では野菜を食べましょう、ってことなんです。

そしてまず野菜から考える、ということ。「今日はハンバーグにしよう」じゃなくて、「今日は大根を食べることにしよう」というところからはじめる。この発想の転換で、家庭料理はとても豊かで美味しいものに変わります。

▼スーパーで売っている『焼きそばセット』を美味しく食べるすごい秘訣

スーパーで売っている「中華の生麺+焼きそばソース」の袋入りってありますよね。あれと豚肉、野菜などをまず用意します。野菜は何でも、余りもので十分。キャベツやニンジンが定番ですが、わたしは小松菜とかセロリとかグリーンアスパラガスとかズッキーニとか、ときには細切りにしたジャガイモとか、いろんな野菜を入れてしまいます。お肉はあったらあったで脂が出て美味しいけれど、なくても大丈夫。

さてソース焼きそばのたいていの失敗は、麺がべちゃっとしてしまうことですよね。お店で食べる焼きそばはパリッとしているのに、なんでわが家の焼きそばはべっちゃりなんだ!と思う人はけっこう多いのでは。その失敗の最大の原因は、焼きそばの袋に書いてある「作り方」をそのままやっちゃうからなんです。こう書いてある。「まず肉と野菜を炒め、そこに中華麺を入れて、水を50ccぐらい足して炒め、最後にソースをからめます」

こんなやり方でパリッとするわけがありません。100パーセント間違っています。つくり方を全面的に刷新しましょう。

まずテフロンのフライパンを中火にかけます。ここで油は入れません。焼きそばの麺をかたまりのままフライパンに放りこみます。四角いトースト状のまま固まってしまいそうに思えるかもしれませんが、そうなりません。火を通しているうちに、なんと見事なまでに、勝手にほぐれてきます。箸を強引に入れると麺がちょん切れちゃうので、軽く突っつくぐらいの感じでやさしく箸を入れます。

この間に、野菜を切っておきましょう。なるべく細く、せん切りにするのがお勧めです。この理由はあとでわかります。

フライパンの麺に戻ります。焦げるぐらいまでバリバリにさせるのも美味しいですよ。そのあたりは自分の好みで、ほぐれてぱらぱらになったら、いったん麺をお皿などによけておきます。

さて、いよいよ最終の仕上げに。ここからは一気呵成に終わらせるので、具材を手の届くところに全部並べておきます。ぱらぱらになった麺、お肉、せん切りの野菜、焼きそばソース。全部ありますね?

まずフライパンに油を少量加えて熱します。肉を炒め、完全に色が変わってから野菜を投入。ほんの三十秒ぐらい炒めるだけでじゅうぶんです。せん切りにしてあるからすぐ火が通るんですよ。

肉と野菜の上に、麺をどばっと投入。焼きそばソースを上から全体にかけまわします。

あとは箸でからめるだけで完成。驚くほどぱりぱりのソース焼きそばになってるはずです。

できあがった焼きそばに青海苔を散らすと、祭りの縁日風になります。また余裕のある人は、あらかじめ別のフライパンに卵を割り入れてとろ火で温めておき、完成した焼きそばの上に半熟の目玉焼きをそおっとのせると、こってりした美味しさが楽しめます。黄身を崩しながら食べてね。
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佐々木俊尚 作家・ジャーナリスト。1961年兵庫県生まれ。早稲田大政経学部政治学科中退。毎日新聞社などを経て、フリージャーナリストとしてIT、メディア分野を中心に執筆している。忙しい日々の活動のかたわら、自宅の食事はすべて自分でつくっている。妻はイラストレーター松尾たいこ。「レイヤー化する世界」(NHK出版新書)、「『当事者』の時代」(光文社新書)、「キュレーションの時代」(ちくま新書)など著書多数。

▼素材の甘みを引き出してくれるお塩、蘇生塩はこちら!
<http://www.chiffonya.com/shop/mineralbalancesalt.htm>
▼野菜サラダに、オメガ3のドレッシングを!
<http://www.chiffonya.com/shop/dressing.htm>
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この本のメッセージは、たいへんシンプルです。
ひとことで言えば、次のようなこと。

値段の高いスーツを着て食べに行くフレンチレストランみたいな派手な「美食」ではなく、かといって散らかった家でジャージを着てむさぼり食うコンビニ弁当や、「鍋の素」でつくった人工的な味の鍋のごとき「ファスト食」でもない。さらにいえば、やたらと無農薬有機野菜やオーガニックにこだわるような「自然食」派でもない。

その外側に、もっと別の素晴らしい食文化が可能なのでは、というメッセージです。

しっくりなじむ洗いざらしの綿のパンツと清潔なシャツを着て、簡素な台所に立ち、素早く手軽に、しかもお金をかけずに健康的で美味しい家めしをつくる。

そういう生活が、いま求められているのではないでしょうか。わたしはそれを実践し、毎日のように家族の料理をつくって楽しみ、人生を過ごしています。
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以上は「家めしこそ、最高のごちそうである」の「はじめに」の出だしです。
著書の帯に家庭料理革命とありますが、無形文化遺産「和食」の現代版です。

読むに値する「おすすめ本」を紹介するHONZで、「家めしこそ、最高のごちそうである」が、集中連載されました。
<http://honz.jp/articles/-/40156>

でも、やっぱり著書をご一読ください。それだけの価値、十分です。


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