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粗食は「新型栄養失調」の原因?

『粗食は「新型栄養失調」の原因?』という週刊朝日の記事を、そのまま読んで頂くために、全文転載をしました。 

そして読売新聞で書評されていた、佐藤初女、幕内秀夫、冨田ただすけ共著『「粗食」のきほん』の抜粋を紹介しました。ご一読ください。

▼高齢者=粗食≠ヘ過去の話 肉食高齢者増加!?
週刊朝日2014年1月24日号より転載

「肉好き」の高齢者が増えている。戦後に海外から流れ込んだ新しい文化と共に育ってきた世代が高齢者となり、古くからの日本の食文化を「変革」させているためだ。高齢者=粗食は、もはや過去の話になりつつある。

1月7日、横浜市泉区。午後7時、細江順一さん(71)一家の夕食が始まった。この日のメニューは、恒例のしゃぶしゃぶ。肉と白菜、しらたき、豆腐が入った鍋とともに、妻の純子さん(70)が作ったカニ入りの茶わん蒸し、シラスときゅうりの酢の物、ごはんなども食卓に並ぶ。

一家は、6人家族。細江さん夫婦とともに、鍋に手を伸ばすのは、細江さんの母、ふさゑさん(93)、長女の由紀さん(43)と夫の和仁さん(42)、孫の竜也くん(10)。実に4世代が、互いの仕事や学校でのこと、最近の関心事などを話しながら、肉をポン酢につけては、どんどん口に運ぶ。皿の肉は気持ちいいようになくなっていく。

竜也くんにお酌をしてもらって、日本酒をおいしそうに飲むふさゑさんは、1921(大正10)年生まれだ。

約20年前、細江さん一家と同居を始めたときからずっと、2階の自室で寝起きしている。階段を上り下りする足取りは軽く、週3回は大正琴や民謡、カラオケのレッスンに、近所の教室まで歩いて通っている。

「病気ひとつないんです。あまりに病院に行かないので、先生に「病院に来られないほど悪いの?」と心配されるほど」と笑う。

細江さん夫婦も、70代になった今も病気知らずで健康そのものだ。車を運転し、趣味のサークルにも顔を出すと50代に間違えられることもあるという。

一家の食事は、主に純子さんが担当している。

「栄養学の勉強をしたことはありません。多くの食材をおいしく食べたいな、と。肉は、ただ焼くだけということは絶対にありません。なんとかひと手間かけ、玉ねぎなど野菜と組み合わせて焼いています」

基本的に朝食は魚を焼き、サラダを添える。そして夜は肉をたっぷり使う。一見、肉の少ないメニューに見えても、麻婆豆腐に入れたり、だんごにしてスープに入れたり、姿は見えなくても肉が必ず食卓のどこかに並ぶようにしている。

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▼細江さん一家の食卓

12月23日(月)
朝:アジの開き、ハムのサラダ、スクランブルエッグ、味噌汁、ごはん
夜:パスタ2種類(ミートソース、バジルソース)、チキン、サラダ

12月24日(火)
朝:焼き魚(鮭)、ほうれん草のおひたし、味噌汁、ごはん
夜:豚汁(豚肉たっぷり)、大根と海老の煮物、油揚げの袋煮(野菜たっぷり)、ごはん

12月25日(水)
朝:焼き魚(鯖)、卵焼き、味噌汁、ごはん
夜:カレーライス(鳥胸肉、豚肉)、サラダ

12月26日(木)
朝:前夜のカレーの残り、ほうれん草のサラダ、牛乳
夜:鮭と豆腐のハンバーグ、すいとん汁(鶏肉、しいたけ、えのき、しらたき、ごぼう、にんじん、だんご)、酢の物(長芋、きゅうり、トマト)、ごはん

12月27日(金)
朝:すいとん汁、ほうれん草の胡麻和え、明太子、ごはん
夜:お刺身、粕汁(大根、にんじん、絹ごし豆腐、油揚げ、ちくわ)、ポテトサラダ、煮豆、白菜のおしんこ、ごはん

12月28日(土)
朝:焼き魚(鯖)、ソーセージ、レタスと卵のサラダ、味噌汁、ごはん
夜:湯豆腐(豆腐、カキ、白菜、ネギ)、大根と油揚げの煮物、マカロニサラダ、牛タン、ごはん

12月29日(日)
朝:焼き魚(鮭)、生ハムのサラダ、味噌汁、ごはん
夜:麻婆豆腐(ひき肉たっぷり)、白菜とシーチキンの煮物、きゅうりとカニカマの酢の物、ごはん
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霜降り肉にひ孫と舌つづみ

ふさゑさんの好物は、肉じゃが、ハンバーグ、すき焼きだ。食べる量は少し少ないが、ひ孫で平成世代の竜也くんとほぼ同じ好物だという。

そんな細江さん一家の食事を「肉と野菜がバランスよく組み合わさっていて、長寿のために理想的」と評価するのは、『介護されたくないなら粗食はやめなさい ピンピンコロリの栄養学』(講談社+α新書)の著者で、人間総合科学大学の熊谷修教授(高齢者栄養学)だ。

長年、高齢者の食べ物を中心に長寿と栄養の側面から研究している熊谷教授は、病院などで指導されている「粗食」は、「動物性タンパク質や脂質が不足する『新型栄養失調』を引き起こす」と、警鐘を鳴らしている。

「糖尿病や高血圧、高コレステロールなど個々の数値や病気の対応にとらわれすぎず、栄養学として総合的な健康を目指さなければならない」

だが、これまでの定説では、高齢者にふさわしいのは、「粗食」であり、イコール「長生き」とされてきた。高齢者の食べすぎは、糖尿病や高血圧、高コレステロールなどにつながり、それぞれの要因が病気を引き起こし、寿命を短くするという考え方だ。

肉が筋肉と骨の老化を阻止

肉を好む食生活は、本当に問題ないのだろうか? 

いささか心配になり熊谷教授に聞いてみると、

「全く問題ありません。肉をしっかり、きちんと食べることは、長寿の秘訣のひとつです」と明快な答えが返ってきた。

「老化とは身体の中からタンパク質が抜けて、乾いて、縮んで、ゆがむ変化のことを言うのです。老化を遅らせるためには、筋肉や骨の材料となるタンパク質を身体に取り込み、たえず補給していくことが欠かせないのです」

では、どのくらいの量を食べればいよいのか。

厚生労働省は、大人が1日に摂取するタンパク質の目安を男性60グラム、女性50グラムに設定している。肉100グラム中、タンパク質は2〜3割。つまり、200〜300グラムほど必要だ。不可能な量ではない。

だが、「肉だけで済ませず、魚や乳製品、豆類からもバランスよく摂取することが大切です」と指摘するのは、大阪国際大学短期大学部講師の大原栄二さん(臨床栄養学)。肉を食べることは良いとしながらも、「肉だけに頼りすぎると、腎臓に負担がかかってしまう」と注意を促す。

熊谷教授の研究でも、多くの食材をバランスよく食べることで、血液中に流れるタンパク質の一種「血清アルブミン」という物質の値を上げることができ、老化を遅らせることができることがわかっている。

「血清アルブミン」とは聞き慣れない物質だが、これが最近注目されているという。血清アルブミンは、1デシリットルあたり3.8グラム未満だと、医学的に「低栄養」と診断されることが多い。だが、正常値とされる3.8以上でも、低い数値であれば、病気などの死亡リスクが、それ以上の人と比べて、1.5〜2倍ほどに高まるという。

「いままでの医学界で見過ごされてきたのが、新型栄養失調の危険です。豊かでぜいたくな食生活は、不健康になるという一種の固定観念が、今の社会にはある」(熊谷教授)

その象徴がメタボという言葉だ。「メタボ」が独り歩きし、太ってはいけない、という感覚も年々強まっている。

「でも、60歳を超えると、粗食こそが健康に害を及ぼすようになる。老化を早め、要介護のリスクを高めてしまうことにもつながるのです」

この理論、各方面を取材して回ると、時代の流れに後押しされて、うまく広まりそうな気配である。

現在の60代は食文化の先駆者

博報堂「新しい大人文化研究所」が、2012年12月、首都圏と全国の政令指定都市在住の40〜60代の男女2700人を対象に実施した調査によると、「肉料理が好き」は全体の85%。40代、50代では男女ともに80%を超え、60代でも男性86%、女性78.7%が「好き」だと答えた。

肉を食べる量は、数年前に比べて『変わらない』は全体の62%、「増えた」は10.9%。従来言われている「年を重ねるごとに、あっさりした野菜料理や魚料理が好まれる」というイメージが覆される結果が出た。「食べることが楽しみだ」は同90.5%にのぼり、豊かな食事を楽しむ傾向も強かった。

同研究所によると、このような傾向は、今の60代以上が作り出した新たな潮流で、50代、40代が高齢者になるに従って、今後ますます加速する勢いだという。

現在の60代が生まれたのは、1945年(昭和20)〜54年である。47〜49年生まれの「団塊の世代」もすっぽりこの中に入る。まさに戦後生まれが「高齢者」と呼ばれる年齢層に突入しているのが今の時代なのである。

振り返ってみれば、この世代が、20代から30代だった70年代は、日本の「食」を取り巻く環境が大きく変化した時期だった。70年にケンタッキー・フライド・チキン、翌71年には、マクドナルドの国内1号店がそれぞれオープンした。日清食品がカップヌードルを発売したのも、71年だ。

家の外で手軽に食事をすることが当たり前になり、街中にファミリーレストランがあふれるようになったのもこのころ。朝食にパンを食べる習慣が定着を始め、ちゃぶ台よりダイニングテーブルが一般的に。「手軽に」「簡単に」が重宝され、各家庭で、食のファスト化と洋食化が一気に進んだ。

大原さんはこんな風に解説する。

「海外などからいろいろな食文化が入り込み、日本人が多様性に富んだ食事をするようになった。今後も肉好き高齢者は増えるでしょう。どのように健康状態が保たれるのか注視する必要があります」

新しい食文化を享受してきた世代が、「高齢者」と呼ばれる年代になったことで、洋食に多い肉料理を好む年配者が増えていることは、当然の成り行きなのだ。

熊谷教授は「年齢とともに少食になりがちだが、バランスよくできるだけたくさん食べてほしい。メタボを気にしていては、介護が必要になってしまう。良質のタンパク質で、丈夫な骨と筋肉を維持することが、介護に頼らず年をとることの秘訣です」と話す。

そんなよいことずくめの「肉食」。ちょっと別の側面からも注目されている。なんと、「出世」にも効果があるらしいのだが。

『やはり、肉好きな男は出世する』(朝日新書)の著作があるジャーナリストの国貞文隆さん(42)は、数百人の経営者を取材してきた経験から、こう語る。

「取材してわかったことは、成功している経営者で、肉が嫌いな人は一人もいなかったということです。朝からステーキを食べ、しっかりエネルギーを補給してから会議に臨む人が多かったです」

言い換えれば、肉をおいしく感じることができるのは健康で、エネルギーにあふれている証拠でもあるわけだ。

「驚いたことに、みなさん、粗食にしようという、いわば後ろ向きな発想は一切なかった。健康に良い悪いの前に、自分が必要とするから食べている。その意気込みと信念も、出世を支えているのかもしれませんね」

肉食高齢者の増加は、日本社会が元気になる第一歩なのかもしれない。

本誌・古田真梨子
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▼高齢者が切り開く「新食文化」
博報堂「新しい大人文化研究所」所長阪本節郎

今、「高齢者」の概念が大きく変わりつつあります。これまでのように「黄昏中高年」による「枯れていく老後」のようなマイナスイメージではなく、「若々しくセンスのある大人」による「人生最高のとき」への転換です。

大きなきっかけは、2007年前後に始まった「団塊の世代」の退職です。すでに、成人人口の過半数を50代以上が占めるようになるなど、日本の若者中心の国ではなくなっていましたが、団塊の世代が60代を迎えたことで、新しい高齢者像が姿を現したのです。

ベビーブームのときに生まれた約800万人は、ビートルズに代表されるグループサウンズでつながっています。同じものを「いいな」と思える体験を共有していて、集団としてのパワーは非常に大きい。そのパワーで、ファッション、働き方、恋愛の仕方も家族の形も常にイノベーションを起こしてきたのが団塊の世代です。

食生活も同様です。電子レンジ、冷凍食品、インスタント・レトルト食品の利用を、生活に初めて取り入れました。日本食に加えて、洋食の良さも知っているから、グルメでありつつ、簡便性を掛け合わせた食事を好んできました。それを60代になったから、70代になったからといって、急に粗食にすることはしないでしょう。食事を楽しむことの素晴らしさを知っているわけですから。

男性が料理をするようになったのも団塊の世代からではないでしょうか。定年後の趣味として楽しむ人も多く、家庭内の様子も、一昔前とは大きく変わっています。リタイアしてからも努力を重ね、よりイキイキと輝きたいという意欲が旺盛なのです。

私は、40代以上の世代を「中高年」「高齢者」という概念ではなく、「新しい大人」として調査・研究を進めています。

40〜60代では「年齢にしばられない生き方をしたい」人が74.5%。言われてうれしい言葉は「若々しい」(47%)、「センスがいい」(38.3%)が上位で、従来の中高年に対する褒め言葉である「成熟した」(10.1%)を大きく上回っています。

この傾向は、今後どんどん強まっていくでしょう。食卓の風景はもちろん、生活すべてがこれまでの高齢者のイメージでは語れなくなっている。全く新しい「大人文化」による、元気な高齢者時代が到来しています。
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『「粗食」のきほん ごはんと味噌汁だけ、あればいい』

▼「おいしさ」文明の根幹 評・前田英樹(批評家・立教大教授)
以下は、読売新聞1月13日の本よみうり堂「今週の書評」より転載 

著者の一人、幕内秀夫氏は、『粗食のすすめ』(新潮文庫)という名著で米を食べる暮らしの大切さを、栄養学の観点から実に深く説いた。

この人が、佐藤初女氏と組んでまとめた対談集が本書である。初女さんは、弘前で食を通じた奉仕活動を行なう人で、「森のイスキア」という「心病める人の憩いの場」を主宰している。

ここで言う「粗食」とは、「ごはんと味噌汁」が中心の、昔からあった当たり前の日本の食事のことである。こういうものが、どんなにおいしいか、人の心身をつよく養って健やかに保つかを、二人は語り合ってやまない。そこには、頭だけの理屈から出てくる言葉は、ひとつもない。多数の命を支えてきた長年の経験と、無私の実行が育て上げた穏やかな信念が、どの言い回しにも脈打っている。

初女さんは、年70回もの講演をこなし、行く先々で聴講者に自前のおむすびを食べさせる。食べさせてみなければわからないおいしさがそこにあり、そのおいしさだけが伝える心身の喜びに、初女さんの講演内容があるからだ。本書を読むだけで、そのおいしさは想像できる。

米の洗い方、炊飯器で炊く時の水加減、結び方の心得、読めばすべてに驚かされる。けれども、その本旨は米の命を活かしきる、というところに尽きている。そのためには、水を活かし、塩を活かし、手の温かみを活かしきらなくてはならない。文明の根幹を聞かされる思いがする。ほかにも、梅干しの干し方、糠漬けの漬け方、味噌汁のだしの取り方などが、初女さんの素直な話芸で謙虚に語られていて、日常にある自然への柔らかい透視力に感嘆させられる。彼女の話しぶりは、この上なく平明だが、思想を語るどんな言葉も、これ以上に大切なことを表現するのは、難しいだろう。

本の後半は、料理研究家の冨田ただすけ氏が工夫した具入りごはんと味噌汁の数々が、いい写真で紹介されている。どれもうまそうである。

◇佐藤初女(さとう・はつめ)=1921年生まれ
 龍村仁監督の「地球交響曲 第二番」に、日本のすてきなおばあちゃん、日本の女性の生活の中の叡智として出演
 <http://www.gaiasymphony.com/bu/co_guide2.html>
◇幕内秀夫(まくうち・ひでお)=1953年生まれ
◇冨田ただすけ(とみた・ただすけ)=1980年生まれ
 白ごはん.comはこちら!<http://www.sirogohan.com/>
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▼食べたいものを食べ、食を基本に生活すると元気でいられるの――

幕内:1年に70回講演をこなせる元気の秘訣を伺いたいです。

初女:やっぱり感謝ですよ。講演会でお話しして家に帰る。そのとき、自分で相手に何かを与えるような感じではダメだと思う。でも、私は相手から受けることがすごく多いですね。

幕内:パワーをもらってしまう、ということですね。

初女:そう。だから、疲れてしまうからイヤだとか、こんなものやめてしまいたいとは全く思わない。疲れることは疲れるけどね。

幕内:宿泊のときは、お着物を手に持って、講演に向かわれるんですよね。

初女:今は搭乗前に預かってもらえますしね。

幕内:初女さんは「具合の悪いときは、ごはんで治す」って本か何かで読んだんですけど。

初女:もうそんなことはない(笑)。

幕内:お粥は作られます?風邪をひいたときなどは。

初女:作らない。私、風邪もひかないの。ひいても自然に治ってる。富山の薬も置いていってくれてるけど、飲まない。もう十何年経ってるけど、一回も開いてない。

幕内:どうしてそんなにお元気なんですか。

初女:やっぱり眠ることは大事ですね。睡眠不足だと頭が回らなくなる。

幕内:四時に起きられて、寝るのは?

初女:十二時。

幕内:えっ、四時間ですか? かなり少ないですよね?

初女:四時に目が覚めても、四時半にならなければベットから出られない。帯津良一先生も四時に起きて四時半に病院に行くと言ってた。早く起きても、パッと熾きられるもんじゃないもんね。

幕内:私も初女さんや帯津先生を見習って、五時には起きてますね。朝ごはんは何時に召し上がるんですか?

初女:七時半。お昼は十二時、夕飯は六時。

幕内:三食、ごはん食?

初女:お昼はまちまちですね。パンとか麺類のこともあります。頂き物もありますし、そのときに食べたいものを食べるの。そうね、元気の秘訣といったら、食べることと眠ること。「食べたい」っていうのは、体が要求してるんじゃないかと思って。

幕内:子どもも同じで、親のこだわりによって、食べさせたり食べさせなかったりするけれど、体の要求が素直に出る子どもが食べたいと思うものが、体に良いもののはずですよね。

初女:そう。

幕内:買い物はどなたかにしてきてもらってから、献立を考えるんですか?

初女:献立も食べたいものを作ってる。

幕内:毎日、食べたいものを考えてから献立を決める?

初女:食べたいものを考えて、で、作りながら増やしてみたり。

幕内:今日はお魚が食べたいからお魚にしよう、と?

初女:うん、今日は玉ねぎを生のままで食べたかったから、サラダの中に入れたの。たまらなく食べたかったの。

幕内:それは、体が欲してるんですかね?

初女:そうですね。

幕内:体が弱ったとき、疲れたときの食事は?

初女:食べられるかって? 食べますとも、食べて元気になるの。

幕内:食べて、寝ると。

初女:まとまった睡眠を二回〜三回とると元気になるから。やっぱり、食べたいものを食べて、寝られるときに寝る、それがいいんではないかと思う。あとは、講演があるから、相手に迷惑をかけないように注意しているということもある。でも、食べ物を基本にして生活していると、毎日おいしい物を食べているから、病気になりにくいのかもしれないですね。

幕内:初女さんをはじめとして、高齢で元気な方はたいがい、「健康法」はないですよね。健康のために、あるいは長生きするために生きている人はほとんどいない。「健康」や「生」に執着するのではなく、今を充実して生きている方が多いように感じます。先日、新聞に百歳になっても通勤しているサラリーマンが紹介されていました。たぶん経済的なことなど考えたら、働く必要はないんだと思います。でも、それでも働き続ける。立派だと思いました。いつまでも「社会」から必要とされて働いている、それが健康法だと思いました、初女さんと同じだなと思いますね。
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▼青い鳥は身近にいる―――あとがき

『粗食のすすめ』(東洋経済新報社・1995年)が発売されて、もうすぐ二十年です。お蔭様で現在でも版を重ねています。当時、多くの人から、なぜ「粗食」なのか、和食、日本食、あるいは素食でいいのではないかという意見がありました。でも、私は「粗食」という言葉にこだわりました。

それまでにも、「和食」、「日本食」、あるいは[家庭料理]を勧める本がたくさんありました。それらの本に紹介された料理は、きれいに見せるために手間のかかる料理も多く、一般の家庭で作れるだろうかと思うものもあります。そのような本の影響なのか、「和食は手間がかかる」、「難しい」、「お金がかかる」という声も多く聞かれました。和食や日本食を勧める本が、和食離れを進める一因になっているのでは、という疑問があったのです。

今や日本は世界一の長寿国と呼ばれています。その長寿を可能にしたのは、稀に食べる料理にあるのではなく、毎日食べるものにあるはずです。それは、ごはんと味噌汁です。それを抜きにした、和食、日本食というのはおかしい、「主役」を忘れているのではないかという思いがあったのです。

ごはんには、空腹を満たすことができるだけの「でんぷん」が豊富に含まれ、味噌汁には、大豆の「タンパク質」や「脂質」が、「塩」には、さまざまなミネラル類が豊富に含まれています。味噌汁のだしには煮干しや鰹節が使われ、具に野菜や海藻、豆類(豆腐など)を入れれば、「タンパク質」や各種ビタミン類もとれます。ごはんと味噌汁は見事な組み合わせなのです。

しかも、ごはんと味噌汁は365日、朝、昼、夕、食べても飽きず、ごはんは味が淡泊なので、どんなおかずにも合います。ごはんと味噌汁なら誰にでも作ることができ、100円もしないで充分に空腹を満たすことができます。だから、長い間、食生活の「中心」として定着してきたのでしょう。私たちは、生まれたときから、何も考えずにごはんと味噌汁を食べてきました。毎日食べる、ごはんと味噌汁の大切さを思い出して欲しい、その思いから、あえて「粗食」という言葉を使うことにこだわったのです。

今は、空前の「食と健康」に関する情報過多時代です。「糖質制限食」、「原始食」、「ケトン食」、「マクロビオティック」、「地中海ダイエット」……。それらの情報に振り回されて右往左往し疲れ果てた人たちが、新たな「青い鳥」を求めて、佐藤初女さんの「森のイスキア」を訪ねているのだと思います。イスキアで炊きたてのおいしいごはんと味噌汁を食べることで、
「青い鳥」は特別な食事にあるのではなく、日本人が「普通」に食べてきた食事にあることに気付く。そのことによって健康を取り戻す方がたくさんいるのだと思います。

本書によって、多くの方が「ふつう」の食事を思い出し、当たり前の食生活を取り戻すきっかけにしていただければ幸いです。

平成25年 新米に季節に 幕内秀夫
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週刊朝日の記事に紹介されている熊谷先生の著書に、以下の記述があります。

そもそも、齢を重ね、生き延びてきたということは、生活習慣病を乗り越えたことを意味する。生活習慣病に罹り、負けてしまった者の多くは、高齢期を体験することなくこの世を去るからである。したがって、人生後半の健康問題に対して、生活習慣病が影響する程度はかなり小さくなる。

すなわち、中年期(30〜40歳)までに生活習慣病に罹って亡くなった人を除いたシニア(50歳以上)は、植物性食品をよく食べるヘルシーな食事や、ごはん、味噌汁、漬物をよく食べる日本食(粗食)よりも、魚介類に偏らず、動物性食品(肉類、卵、牛乳)と油脂類をよく食べる欧米化した食事の方が、要介護なしで長生きできると言われます。

では、中年期を健康に過ごす望ましい食事とは、どうようなものでしょうか。

カロリーベースで穀類:35%、野菜:25%、豆:19%、生:13%、B12:8%の食事です。
<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata_4.htm>

ビタミンB12は、植物性の食品には含まれていない栄養素なので、肉と魚と乳製品から摂取します。野菜の25%は加熱調理して食べる量です。

豊かになった現代人の食事は、肉と魚と乳製品が非常に多くなって、その分、穀類と豆が少なくなっています。そして、大多数の人は生で食べる野菜と果物、ナッツ、種が少なくなっています。

ごはん一膳(140g)は235Kcalですから、1食が670Kcal×3食=2010Kcal。
1日2010Kcalで、和牛サーロイン肉のステーキでしたら、30gです。

ですから、ごはんと一汁三菜に魚や肉を添える和食が望ましい食事です。

この食事は粗食ではありません。

無形文化遺産登録され、世界の栄養学者が称賛する「和食」です。
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博報堂「新しい大人文化研究所」によれば、40〜60代の方々が言われてうれしい言葉は、「若々しい」「センスがいい」ということですが、もしそうならば、美味しいお店は何処何処とか何々の商品は美味しいなどというグルメ通になることよりも、栄養学に精通して頂きたいと思います。

参考までに申し上げますと、丸元淑生さんの「豊かさの栄養学」は必須教科書として、最後の著作「短命の食事 長命の食事」は健康のレベルを上げるために読んで頂きたいと思います。

あのスーパースター・マドンナは、アレルギー体質の息子さんのためにマクロビオティックのシェフ、西邨マユミさんを雇っています。

佐藤初女さんは、前掲の著書で「マクロビは大っきらい。お料理に心が入っていないから」とおっしゃいますが、西邨まゆみさんがマクロビオティックでダメと言われているローフードのスムージーのレシピ本を出されましたように、栄養学はある方向、鶴見隆史先生が提唱する酵素栄養学に収斂していっていると思います。

マドンナのようなセレブでない私たちは、しっかりした栄養学を身につけることではないでしょうか。それこそが「大人文化」だと思います。


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