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肉がコメを減らしていく!

「コメ、主食の座危うし…購入額でパンに抜かれる」で、
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20120827-OYT8T00774.htm

『背景には、日本人の食生活やライフスタイルの変化がある。消費者がパンやパスタなどのめん類を食べる機会が増える一方で、「肉などのおかずを多めに食べて、ご飯の量を減らす傾向がある」(農水省幹部)こともコメの消費が落ち込む一因となっている。』

とありますが、やっと、コメを減らしていくのはパンではなく、「肉がコメを減らしていく」との認識がされるようになりました。以下は、1992年発行の丸元淑生著「生命の鎖」の「炊事時間の短縮が肉の消費を増やす」の転載です。
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小麦の消費が横ばいで、コメの消費が減っていけば、むろん食事に占める小麦の比率は増大していく。しかし、小麦がコメの消費を減少させていっている要因ではないことは、その消費量がほぼ一定していることからも明らかである。

コメの消費量を減少させていっている力は別にあり、それが肉であることを図4は如実に示しているのである。<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata0002.pdf>

図4にみる肉の消費の一直線の伸びは、たとえば自由化されて値段が安くなったから増えたというような食品でないことを物語っている。では、そもそもいったい何が、この肉の消費をおし進めているのだろうか?

現在われわれが享受している経済的な豊かさは、女性の社会進出に多くを負っている。だからその豊かさは、料理に割かれる時間の短縮を代償にしたものということができる。ということは、なにかよほどの工夫がなされない限り、経済的に豊かになると料理は手抜きされたものにならざるを得ないわけだ。

また、経済的に豊かになると、女性の生活時間は家事以外のさまざまなものに当てられるようになる。現在、わが国の専業主婦が料理に割いている時間は、NHKの国民生活時間調査によれば、平均で一日2時間半(1990年)に過ぎない。物理的に時間のない有職夫人が料理に当てられる時間は、それよりもはるかに短いものになるだろう。

その短い時間でなんとか料理ができるようにしてくれる便利な食品が、肉および肉加工品である。とすれば大多数の女性がそれに依存するのは当然で、料理時間の短縮が、肉の消費を増大させる力になっていく。

図2のグラフを料理時間でみれば、下のパターンの食事になるほど、それは長くなっていく。<http://www.chiffonya.com/shop/kouza/titokudata0001.pdf>

複合炭水化物の比率が増えるということは、穀類、豆類、根菜、葉・茎野菜、たね類などの多種類の植物性食品が調理されるわけで、必然的に料理の数も多くなり、料理に費やされる時間が長くなる。多種類の料理は短時間ではとてもできないからだ。

反対に上のパターンの料理になるほど、料理時間は短くなると思ってよい。それを可能にしてくれるのが肉なのだ。一番上のパターンでは「植物性タンパク」の比率はごくわずかになり、「分離していない植物性脂肪」は微々たるものにすぎなくなる。「分離していない植物性脂肪」は、穀類や豆類を食べてえられるものであるから、肉を多く食べるようになると穀類や豆類は、あまり食べなくなることを示している。

つまり、経済的な豊かさは料理の時間を短縮させ、それが肉の消費量を増大させる。そして、食事に占める肉の比率が高まると穀類・豆類の比率は下がっていくという構図になっているのだ。

――<中略>――

そこでもし、どうしてもライフ・スタイルを変えることができず、料理時間を伸ばせないとしたら、男性が料理を分担する新しいライフ・スタイルを生み出すしかない。それができなければあとはもう、短時間にもかかわらず多種類の料理が毎日の食卓に並ぶという、革新的な料理法の工夫しかないだろう。
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以下は、1989年発行「続・新家庭料理」の文頭のことばから抜粋転載。

短時間に何品もの料理をつくるのは不可能であり、どうしても料理の主体が肉や肉加工品などの、調理がかんたんで便利な食品に依存したものになっていくからだ。そういう食事は栄養的にみると、「高脂肪低繊維食」ということになるのだが、そのパターンに陥ると、脂肪、蛋白質、カロリーは過剰に摂取されるけれども、ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素の適切な摂取はできなくなる。あるミネラルは過剰にとれる半面、あるビタミンは不足するといった欠乏とアンバランスが生じるのだ。また、肉や肉加工品によって動物性食品の比率が高まった食事では、自然態の植物性食品(精製、加工していない植物性食品)にふくまれている食物繊維の摂取量は当然ながら減少することになる。

そのために便秘になった人が、食物繊維をサプリメントで補うというのが最近の流行のようだが、たとえそれで便秘が治ったとしても、悪い食事の欠陥が補われたことにはならない。食物繊維が不足するくらいに自然態の植物性食品の比率が低下した食事では、食物繊維以外にも、自然態の植物性食品に含まれている他の数多くの栄養素の不足が生じているはずだからである。

しかし、料理に時間が割けないという現実があると、そういうパターンの食事が重なっていくことになる。そして、知らず知らずのうちに一家の健康のレベルを低下させていくわけだ。癌をはじめとして、心臓血管の疾患、糖尿病、肥満などのリスクを高めていくのである。

ライフ・スタイルを変えることができないとすれば料理のやり方を変える必要があり、そのためのシステムと方法が要求される。料理に長い時間を割かなくても、すべての必須栄養素(その数は40をこえる)が過不足なくとれるシステムと方法である。本書はそれを示したもので、冷菜はそのシステムの重要なパートである。
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以下は、1986年発行「新家庭料理」の1994年発行「文庫版のためのあとがき」から抜粋転載。

食をビジネスとしている人たちにとってはビジネス上の変化は多々あったかもしれないが、わが国の外食が栄養学的にみて「1回の食事」といえるものを提供しようとしていないことには変わりがない。だから、外食に依存する度合が増せば、それだけ多くその欠陥を家庭料理で埋めなくてはならないわけである。

いいかえると、外食の回数が増えると、家庭で食事をする回数は減るけれども、減れば減るほど家庭料理の質は高くならなくてはならないことになるのだ。

――<中略>――

では、その状況の中でどう家庭料理を組み立てていったらよいのか。本書はその問いに答えたものなので、文庫版になった機会にできるだけ多くの方に読んでいただきたい。
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小泉武夫著「食の堕落と日本人」に次のような話があります。

私が「ドイツに帰ったら直ぐに結婚するのですか」と尋ねると、彼女は平然としてこう答えたのだ。「いえ、まだ出来ないのです。好きな人はいるけれど、結婚はまだまだ・・」立ち入ったことと思いつつ、その理由を聞いて驚いた。自分の家に代々伝わる家庭料理のレシピを、まだ習得していないからだというのである。「全部で40種類くらいあるのですが、母から教えてもらったのはまだ半分くらい。まずそれをすべて覚えなくては。結婚はそれからです」
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丸元淑生さんが48歳の1982年に、初めて『システム料理学』という、料理の本を著しました。その「まえがき 男女厨房に立つ」からの転載です。

色刷の豪華本から随想の類まで、本屋に行くと料理の本の数に驚かされる。その氾濫に一書を加えようというのだから、あえて加える理由をまず最初に述べるのが、読者にたいする著者の義務というものであろう。

私は現代栄養学を勉強してきた者である。といって大学で栄養学を専攻したわけではなく、理由があって10年前からアメリカの栄養学を独学してきた。日本語で勉強したかったのだが、日本には現代栄養学に関する本が絶無のために(その点では料理書の氾濫と見事な対照をなす)、やむなく英語で学んできた。それはどうでもいいことだが、現代に傍点をふったのは、日本の栄養学がただの栄養学で、アメリカの栄養学が現代栄養学という意味ではない。栄養学は世界に一つしかないけれども、日本人の多くが栄養学と信じているものは半世紀以上も前のそれであって、生化学の一部として長足の進歩をとげている現代栄養学とは、ほとんど別のものであることを知っていただきたいのである。

その栄養学を学ぶにつれて、私は現代の日本の家庭料理に疑問をもちはじめた。それでやむなく今度は、数年前から料理をつくるようになった。・・略。
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世界に誇る日本の家庭料理が伝承されていない以上、丸元淑生著の「新家庭料理」、「続・新家庭料理」、新家庭料理第3弾「丸元淑生のシンプル&ヘルシー毎日の料理」から、現代栄養学に基づく伝統的な家庭料理の基礎を学ぶことができ、そのうえ、料理に時間を割けない現代のライフスタイルに合ったシステムと方法をレシピを通じて指南してくれます。

これらの本は、中央公論新社の「暮しの設計」の料理書シリーズで刊行されたのですが、その文庫版も含めて既に絶版になっていて、中古本しかないことは残念なことです。


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