トップページ知って得する講座辰巳芳子さんの提言「発酵力は、生きる手がかり」

辰巳芳子さんの提言
「発酵力は、生きる手がかり」

11月7日のAll About メールマガジンVol.1358で、「バターを使わないヘルシーなバナナブレッド」を「バターの代わりにサラダ油を使った、お砂糖控えめ、材料を混ぜてオーブンに入れるまで5分でできる、簡単ヘルシーなバナナブレッドのレシピです」と紹介していました。<http://allabout.co.jp/gm/gc/387000/?NLV=AL000002-1358>

バターの代わりにサラダ油を使うことが「ヘルシー」なのでしょうか。

これこそ「ヘルシー!」として、辰巳芳子さんのお話を、クロワッサン特別編集「免疫力をアップする、発酵食のすすめ」から転載しましたので、ご一読ください。

よすがという言葉があります。
万事、何事においてもの、
適切な手がかり、手段に属す
具体性を意味する。美しい日本語。

人類は生を享けた風土に決定づけられ
生きねばなりません。
もののあわれの根源かもしれません。

発酵食品は、海に囲まれた島国の
高温多湿を生きてゆきやすく生きるため、
ほとんど自然発生的に勘考し、
仕上がった骨肉の一種、
生きてゆく上での仲間ともいえます。
酒・味噌・醤油・沢庵・糟漬け、
各種糀漬け、粕仕事の数々。
あって当たり前のゆえに、
粗略にしても失わぬと
勘違いしているところはないか、反省。
「もの」に見放されるのは、
「人」に見放されるよりおそろしい。
取り返しのつかぬこともあります。
いのちを守るのは、自分以外ありません。
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「味噌汁で煙管を洗うって、ご存知かしら」。いきなり「?」である。

<毎朝のおみおつけとお香々は上手にならなければいけませんよ。ことにたばこをのむ人のためにみそ汁は必ずおいしくのませなければいけませんよ>(『みその本 みその料理』より)――辰巳芳子さんの母・料理家の浜子さんが、祖母から何度も言い聞かされたことだという。

「なぜなら、味噌は煙草のヤニを溶かして排出するからだというの」

煙草の雁首の中に2、3滴、味噌汁をたらして、真っ赤な炭火の上で焼くと、ぼこぼこ煮立ちはじめ、そのうちヤニが溶けてくる。水気がなくなると、ヤニだけが塊となってポンと飛び出し、詰まっていた煙管にすーっと空気が通るようになる。水でも番茶でもだめ。味噌汁でなければそうならない。

「味噌は、日本人の骨肉のような存在です。親に等しい風土の中で、自然発酵によって生み出された宝のようなもの。醤油、酒、酢、味醂も。ほんと、えらい。素晴らしい存在なの。

でもね、と辰巳さんは続ける。今の人って、味噌汁を作れ、作れといっても、できるのかしら? 疑問を投げる。「そんな力はないのでは? 講演に行っても、出汁を引いている人は100人のうち、たったの3、4人。昨年、500人もの食調査を行ったけれども、味噌汁などは週に1度飲むか飲まないか。ああ、日本人って、底が抜けちゃったのだな、と思いました」

底抜けの日本人。でも、放っておけないのが辰巳さんだ。何とかして、食べさせたい。食習慣を取り戻させたい。「私自身、味噌は大尊敬しているのだけれど、毎日、味噌汁がなければ生きていけないというほどではないの。味噌でも何でも、もっと別の方法でとればよい。頭を使って、工夫する。いま生きている自分たちが疲れないよう、生きやすいよう役立てなければ、何のための頭なのでしょう」

こと発酵食に関しては、日本の高温多湿ならではの、優れた栄養と熟れた味わいが、全国津々浦々に存在する。宝の山に囲まれているのだからもったいない、と辰巳さん。

「私がこどもの頃、湘南の夏には『甘〜い、全く』と呼ばわり歩く甘酒売りがいました。海水浴のあとに必ず飲まされたものです。冷えた体を温め、疲れを瞬時に取り去るためなのですが、それはたっぷりのブドウ糖、アミノ酸が含まれているからなのね。考えてみれば、江戸時代から、夏の栄養剤として飲まれてきているんです」

これを受験生に飲ませてあげたい。きっと頭は冴え冴えとするはずだし、サッカー選手に飲ませれば、試合中どれだけ走れることか。

「決めた!甘酒の復権をしなくてはだめね。そう、おろし生姜を添えて飲むのは基本中の基本。牛乳と混ぜれば子どもも飲みやすいですし、煮詰めてヨーグルトのソースにしてもいい。味噌漬けに加えれば、味わいが深くなる。味噌汁に入れたっていいんじゃない?試したことはないけれど」
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米麹と水だけで作った、すっきりした味わいの甘酒。飲むだけでなく、煮詰めて多用できる。
(まるや天賞)
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たしかに。頭を柔軟にすれば、使いようは無限にある。もっと言えば、包丁をもてない、作れない、時間がない、そんな人は「買えばいいの」と辰巳さんはすっぱり。「その代わり、いいものを選ぶこと」。志を持って、もの作りをする、信頼に足る生産者だ。そんな一人が、乳製品を作っている岩手県遠野の牧場主・多田克彦さんだ。

「多田さんは、すごい人です。加工品を作る過程で出る乳清、ほとんど捨てられているのだけれども、これには鉄分をはじめミネラルなどが大変豊富だというのね。私も試しに、飲んでみたり、スープや味噌汁に使ってみたりしたのだけれども、なかなかよいの。多田さんは、乳酸飲料を作ろうとしているけれど、私は、その乳清自体も発酵食品としてもっともっと活用していいと思っている。

たとえば、学校の給食に。たとえば、おやつの飲み物に。たとえば、病院食のスープに。

「これすら活用できないというならば、救いようがありません。今日は、フレンチトーストに乳清を使ってみましょうね。これ以上、簡単なものはない。いい? 試してみてくださいね。多田さんのところに、乳清を注文してみてくださいね。試してみてくださいませね。繰り返し試すこと、これはとても大事なことなのです。試した結果を積み重ね、分析して、整理する。この方法は、その人の生きる姿勢につながり、あなたを助けるはずですよ」
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フレンチトースト
<作り方>
(1)乳清1カップ、卵1個、バニラエッセンス小さじ 1/3を混ぜて浸し汁を作る。
(2)パンを(1)に漬け、含むまで待つ。天板にオリーブ油をひき、オーブンで焼き色がつくまで焼く。
(3)はちみつ、あるいはメープルシロップを添えて供す。

温めた器にフレンチトーストを盛りつけること。「一緒に、乳清を飲めば、もっといいですね」
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食の話に戻ろう。安いもの、手近なものばかり買ってお腹を満たしている人たち。百歩ゆずって、食べ物をなおざりにしているわけではないとしよう。大事さをわかっていないわけではない。でも、わかっていてもできない。どうにもならないのだ。なぜか。

「面倒と思う心の向こうにあるのは、認識の問題です。食への認識は、命の認識と同義。食べることの『位置づけ』をきちんとしていないからなのね」

じゃ、なんのために食べるのだと思う?考えてください、と問いかける辰巳さんの目はぜんぜん笑っていないのである。

「本気で考えてください。答えがないと、食環境を変えることができません。答え? それはね、自分を自分たらしめるため。自分の命≠ノ尽くす義務が人にはあるのですよ」
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いつも手元にある、いつも食卓に出す。

▼福島県の「酒屋三五八(さごはち)は塩・麹・米を3・5・8の割合で合わせた床。野菜を漬ける。(鈴木酒造0238・24・4230)

▼スーパーミルは、穀類・豆類・胚芽類を7種配合。辰巳さんは3日分をヨーグルトに漬けておく。(茂仁香0467・24・4088)

▼糟味噌は毎日欠かさず食卓にのぼる。いまは、角型の四角いほうろう容器で、冷蔵庫で保存している。「糟漬けは、春から夏がおいしいの」

▼板粕や練粕も常備。粕汁を作ったり、甘酒を作ったり。「おいしいのは、たらこや魚の粕漬け」。(中勇酒造店0120・63・2018)

▼鰯、鯵の内臓で造る「いしり」。能登のものだが、鍋物などに用いると、コクが出ておいしい。
(しら井076・251・4625)

▼辰巳さんが信頼を寄せる多田克彦さんが作るヨーグルトサイダーの試作品。ほか乳製品多数。(遠野風の丘0198・63・1777)

▼廃棄していた鰹の中骨を出汁に活用した「黒潮の宝」を開発中に作った乾燥野菜。「生姜や葱は使いやすいと思う」。ごぼう、人参も。
(山下海産0875・25・6601)

以下は、大書してあった辰巳芳子さんのことばです。
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食事に必ずひとつ、発酵食を加える。そんなルールを作るのもいいかもしれないわね。

一度に摂ろうとしない。毎日少しずつ発酵の力を借りるのがいいわね。

油脂を使わなくても、深い味わいが得られるのは発酵食品ならではの力なのね。

漬物一つ、手作りのほうがどれだけ経済的か。栄養だけじゃないのよ。
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クロワッサン特別編集「免疫力をアップする、発酵食のすすめ」は780円で、お求めになる価値があると思います。

ただ、表題の中の「免疫力をアップする」ですが、過剰反応の場合がアレルギーや自己免疫疾患で、低下反応の時は感染やがんになり、臓器移植患者は免疫抑制が必要のように、体内の状況に合わせて揺れ動く性質を持っているのが免疫です。ですから「免疫力をアップする」ではなく、「免疫力を活性化する」とする方が望ましいと思うのですが。。。


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