トップページ知って得する講座東海林さだおの「決行!炭酸水!」

東海林さだおの「決行!炭酸水!」

毎度のコトながら、立秋を過ぎても、とにかく暑い。小難しい話よりも、こんなことあり!って笑っていただくエッセーです。
暑さしのぎにお読みいただくのも良し、お試しいただくのも良しです(^_^)
週刊朝日8月27日号のコラム、東海林さだお「決行!炭酸水!」より転載

まさに狂気の沙汰、このところの暑さは常軌を逸している。

頭上に灼熱の太陽、足下に焦熱のアスファルトのヒートアイランドを歩いて行くと、目が眩んで頭がおかしくなる。

とにかく水を飲め、飲まないと死んじゃうぞと言われ、本当に死んじゃった人もどんどん出ている。水、水、水、と人々は水を求めて自販機に駆け寄る。

最近ぼくが見かけた猛暑風景は次のようなものだった。

屋根のないバス停に老若男女七名が炎天下にさらされながら立っていて、そのバス停の後ろには一本の電信柱。

その電信柱の一本の影がバス停からナナメに細長く伸びている。

その影の幅およそ20センチ。

その細長い影の中に、影に沿っておばさんが一人立っている。

つまり電信柱一本分の貴重な影を、おばさんが一人で独占しているわけです。

おばさんはかなり太っていて、すなわち太目で、当然20センチの影にはおさまりきらず、体の両端が影からはみ出している。

体をはみ出させつつもその一本の影を独占しているおばさんを、炎天下の七人がハゲシイ怨嗟の目で睨みつけている。

今ニッポンは大変なことになっています。

猛暑特需などという言葉も出来、意外な商品が売れに売れているという。

エアコンや扇風機は当然として、ガリガリ君(赤城乳業)やれん乳氷バー(森永乳業)、梅干茶づけ(永谷園)、熱さまシート(小林製薬)、そのほか涼感寝具などが売れているということが新聞に出ていた。

この中の梅干茶づけ、意外だと思いませんか。

昨年だったか、テレビのCMで、氷の塊の浮かんだ冷たいお茶漬けを、若者が一気にガシガシかっこんでいるというのがあったが、今年はその茶漬けが去年の三割増で売れているという。

確かにあの氷の浮かんだお茶漬けはいかにも旨そうだった。

あのCMを思い出しているうちにすばらしいことを思いついてしまった。

いまハイボールブームとかで、自分でハイボールをつくって飲む人が増えている。

ハイボールは、グラスにウィスキーを入れ、氷を入れ、炭酸水をそそいでつくる。

これまで炭酸水はコンビニの棚の日陰者だった。

それがハイボールブームのお陰で少しずつ脚光を浴びるようになった。

炭酸系の飲料の魅力は、ガスが口の中ではじけるところにある。

ふつうの水ならそのままスーッと口の中を大人しく通過していくのだが、炭酸系のものは口の中を大騒ぎしながら通過していく。

この大騒ぎがおいしい。

何万だか、何十万だかの泡の粒が、口蓋や舌の上や舌の裏側や歯や歯茎や頬の内側や喉にいっせいにぶつかっていっせいにはじけるときの刺激がたまらない。

シュワシュワとたまらない。

冷たい氷の代わりに冷たい炭酸水を使うということを思いついたのだ。

さあ、どうなるか。

さっきも書いたとおり、冷たい水のお茶漬けは口の中をスーッと大人しく通る。

炭酸水のお茶漬けは、口の中をシュワシュワと大騒ぎしながら通過する。

お茶漬けが口の中で大騒ぎするんですよ。

大人しかったお茶漬けが、急に暴れん坊になるんですよ。

お茶わんの中で冷たく泡立っているお茶漬けを、泡立ちごとシュワシュワとかっこむ。

刺激もさることながら、清涼感もひとしおなのではないか。

やってみました。

予想どおり。

アッというまにかっ込んで、旨い、と叫び、ゲフッとげっぷ。

お茶漬けをかっこんでのげっぷは初体験。

そうか、そういうことならこういうことになるのではないか。

お茶漬けに炭酸水方式は、ソーメンにも当てはまるのではないか。

市販の三倍濃縮のソーメンのつゆを薄めるとき、水でなく炭酸水で薄める。

これはいろいろ試してみた結果、次の方式がいいようです。

つゆを入れる器はごはん茶わんぐらいの大きさにし、炭酸水をたっぷりそそいでふつうの濃さよりうんと薄目にする。

そうしておいてですね、シュワシュワと冷たく泡立つつゆにソーメンをひたし、泡立つつゆといっしょにすすりこむ。

つゆにソーメンをつけて食べるのではなく、つゆもいっしょに多めに飲みこむ。

ソーメンのつゆが口の中でシュワシュワとはじける。

あの大人しいソーメンのつゆが、口の中ではじけるんですよ。

そうか、そういうことならこういうことになるのではないか。

味噌汁にも炭酸水はどうか。

これがですね、意外にも一番よかった。出し入りの生みそタイプで、一食分ずつパックになってるのがありますね。

それをお椀に入れて大さじ2ほどの水でといたところへシュワシュワと炭酸水をそそぐ。

シュワシュワと冷たく泡立つ味噌汁をゴクゴク飲めば、もはや味噌汁というより清涼飲料水。

そういえば、これまで味噌汁ドリンクというの、なかったな。


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