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人間は森で生まれた!

12月6日点灯を待つばかりのルミナリエ界隈の旧居留地は今、秋まっ盛り。色鮮やかなケヤキ並木の紅葉が、一段と美しさを演出しています。

皆様の町の街路樹って、いったい何本ぐらいあるかご存知でしょうか。

神戸市内の街路樹、平成15年の調べによりますとその数なんと668万本。つまり、市民1人当り4本以上の街路樹が植えられているという計算になります。自然から遠ざかっているように思える都会の風景ですが、案外、たくさんの緑に恵まれているのですね。

「人間は森で生まれた」から、森の気を浴びる快適さは「人間本来の姿」に近づくのだというお話をご紹介します。

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家の前からバス通りへ出る狭い道をぼんやりと歩いていると、後ろからきた車が一瞬徐行してこちらを追い抜きざま、一気にアクセルを踏み込んで走り去ります。

運転者のいらだちが伝わってきます。よくあることです。

車にとって、速やかな走行を妨げるものは不正義です。いかなる時も速やかにスマートに快適に行く自分たちこそ正義である―――

それが、近代文明の中心的な道具として発達した自動車の立場でしょう。だから歩行者は車に道を譲る。車は人間をけ散らかして平然としている。そういう社会を人間自身が作ってきた。

それにしても―――と、排ガスをまき散らかして去る車の背を見ながら思います。この、肉体にとって本来暴力的なものが正義であり続けてきたことの因果を。

便利さと引きかえに大気や人体は害され、快適さの代償に人の体は切り刻まれてきた。「ほどほど」をこえた過剰な車の横行は、それだけで人間全体のストレスになっているはずです。

都市という人工空間で、新しくできる人工物を喜びつつ人は暮らしています。伸びやかに生きているようで、その実、強いストレスの原因ばかり作っているのではないか。車に快適な道路も、きらびやかな高層建築も。

若い人々の車への関心が薄れてきたという報道がありました。経済の側からすれば憂うべき事態でしょうが、人類としてのバランス感覚が働いた健全な状況だ、と思いたい気もします。

今年8月、フィンランドで開かれた国際森林研究機関連合の会議で、注目を集めた日本からの発表がありました。人間の体がいかに「森」によって培われ、森の環境に適するようにできているかを、生理的実験の積み重ねで明らかにした研究です。

自然への生理的反応によって人間を知る。千葉大学教授の宮崎良文さんが独立行政法人森林総合研究所時代から手がけた手法です。その成果は国内では知られていましたが、海外の研究者には初めての知見だったのです。

例えば一定数の被験者にスギチップの香りをかがせ、脳活動、血圧、脈拍、瞳孔などの変化を調べます。あるいは森林浴をさせ、木に触れさせ、茶葉やコーヒー豆をかがせ、多様な自然素材によるデータを集めます。

その結果、脳活動は鎮静化し、血圧や脈拍は下がり、瞳孔の収縮が見られるなど、生体のリラックス状況が現れることが分かってきました。面白いのは、木の香りを不快と感じる人でも、生体の反応は「ストレス」ではなく「リラックス」を示すことです。

「つまり個々の好き嫌いをこえて、人間の体は自然対応用にできているのです」と宮崎さんは言います。自然の前で体が正直に反応してしまうわけです。

考えてみれば、500万年の進化を続けた人類が川のほとりに都市文明を築き始めてまだ5、6千年です。ほとんど森の中だった。つい先刻まで。

すなわち「太古の野性の森や草原に生きた脳を持って、私たちは今日、都市生活を営んでいる」。宮崎さんが副会長を務める日本生理人類学会の基礎を作った佐藤方彦さんはそう言っています。

高度の人工環境下、現代人は自分も気づかぬ緊張を強いられ交感神経活動の高い状態にあります。無理をしているのです。

森の気を浴びる快適さは誰でも知っていますが、宮崎さんによればそれは「人間本来の姿」に近づくからです。だからストレスは緩和され、免疫機能も高まる。都市は無限でも人体は有限です。身を慈しむほかありません。

この研究は、健康の増進と森の再生を目指して始動した国の「森林セラピー」事業の根拠にもなっています。医療費削減への道としても期待は大きいのです。・・・・・以下、略。
11月24日読売新聞 編集委員芥川喜好「時の余白に」より

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京都市では9月、全国で最も厳しいとされる「景観条例」が施行され、建物の高さ制限は31m、屋上看板は禁止、家屋の屋根の形や庇の長さも規制されることになって、繰り返されてきた「景観論争」の解決策の一つとして評価されている一方で、かつてない強制力に不満の声も多いと、11月26日(月)放送のNHKクローズアップ現代「京都発“景観づくり”が始まった」で報じていました。

旧居留地は、神戸港の1868年開港と共に外国人のための住居や通商の場として造成され、イギリス人土木技師ジョン・ウイリアム・ハートが設計を行い、道路が整然と東西南北に走り、街路樹・公園・街灯や下水道などが計画的に整備され、当時の英字新聞“The Far East”には「東洋一の美しい居留地」と評価されたように、その景観の美しさは神戸の誇りになっています。

自然環境や町並みが後世にそのように評価されるには、"景観の保全"という「公共の利益」のもとに"建築の自由"という「個人の権利」や「経済的効率」を制約することが必要なのではないでしょうか。

森で生まれた人間にとって、その恩恵は計り知れないものがあるからです。


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